次期温室効果ガス排出削減目標を含む「地球温暖化対策計画(温対計画)」について、環境、経済産業両省の審議会の合同会合は24日、両省が示した改定案を大筋で了承した。次期削減目標は「2035年度までに13年度比60%減、40年度までに同73%減」とし、部門別では家庭で「40年度までに二酸化炭素(CO2)を同71~81%減」を目指す。
月内に開催する地球温暖化対策推進本部(本部長・石破茂首相)に温対計画案を示し、パブリックコメント(意見公募)を経て正式決定する。
気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」は各国に削減目標を5年ごとに見直すことを義務付けている。35年以降を期限とする削減目標は、来年2月までに国連に提出する必要がある。
両省によると、削減目標は1990年度以降で最も排出量が多かった13年度を起点とし、50年のネットゼロ(排出実質ゼロ)まで毎年同じペースで削減を続けるという経路を採用した。現行目標(30年度までに13年度比46%減)もこの経路の途上にある。両省は提案した削減目標案について「産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える」という世界共通目標実現の道筋に整合的で、「野心的な内容だ」としている。
40年度までの部門別のCO2削減目標は、産業(工場など)は57~61%減▽業務その他(店舗など)が74~83%減▽運輸(自動車など)は64~82%減――とする。この他、温対計画案には具体策として、家庭部門でLEDなどの高効率照明を30年までに100%普及、運輸部門で35年までに乗用車の新車販売でハイブリッド車を含む電動車100%の実現などを盛り込んだ。
両省の審議会の合同会合では、6月から温対計画見直しに関する議論を進めてきた。削減目標については、11月25日に両省が初めて案を提示したが、委員の間で具体的な数値に関する議論がほとんどない段階だったことなどから、会合の進め方について異論が噴出した。
また、23年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の成果文書には、1・5度目標実現のためには「35年までに19年比60%減が必要」と明記され、今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言にも同様の文言が盛り込まれた。日本に当てはめると「35年度までに13年度比66%減」に相当するため、企業グループや環境NGO、専門家らから両省の案では不十分との指摘が上がっている。【山口智】
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