訪日外国人が増えるなか、飲食店での価格を日本人向けと外国人観光客向けで分ける「二重価格」の是非を巡って議論した(写真:FNNプライムオンライン)神奈川県の黒岩祐治知事と映像ディレクターの高橋弘樹氏が5日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、訪日外国人が増えるなか、飲食店での価格を日本人向けと外国人観光客向けで分ける「二重価格」の是非を巡って議論した。

「二重価格」の設定について意見が分かれる

黒岩知事は、「二重価格」により外国人観光客が飲食店などで高い料金を支払う可能性があることについて、「非常に抵抗がある。外国人旅行者は日本からすればお客様。せっかく来てくれた人から罰金を徴収してるような感じだ。そういうことで分断するのは、非常に抵抗感がある」と否定的な見解を述べた。

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一方、地方の観光地に詳しい高橋氏は、「制度として全ての店にやりなさいというのではなく、二重価格を選択しない店もあるなかで、両方やって自由に競争して顧客に店を選ばせるというのはいいかもしれない」と指摘。

番組コメンテーターの橋下徹氏は、「二重価格は前から賛成だ」としたうえで、「マイナンバーを使って日本人かどうかの確認をするべきで、外国人かどうか、日本人かどうかを見た目で判断するのは絶対ダメ」と強調した。

以下、番組での主なやり取り。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):まず番組視聴者投票の結果を見ていく。訪日外国人と日本に住む人を分ける「二重価格」の設定について、あってもいいという方が65%、ないほうがいいという方が30%、どちらとも言えないという方が5%という結果に。高橋氏はこの結果をどう見るか。

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実行するには工夫が不可欠

高橋弘樹(映像ディレクター、元テレ東P):僕も(二重価格は)あってもいいかなと思うので、気持ちはわかる。昔、中国に行った時に、中国ってまだ経済発展しきる前は、招待所と言って、中国の方しか泊まらない安い宿がいっぱいあった。それを見て別に不公平だなと思わなかったので、為替とかの状況によって、あってもいいのかなと思う。

梅津キャスター:ただ、やり方には色々と工夫が必要なのかなというような気もするが?

高橋氏:そこは本当にCM中にもいろんな議論出たが…。

梅津キャスター:外国人の中にもアジアの方もいるし、なかなかその見た目だけでは日本人かどうかというのもわからないし、日本に住んでるかどうかの区別をどうしていくのかは難しい問題だと思うが。

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橋下徹(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):僕は「二重価格」は前から賛成だが、ただ、やり方が、外国人の方に高い金額を課すために外国人の確認をするっていうのは、これは非常に問題あると思う。というのは、外国人かどうかっていうのを、どうやって最初にあたりをつけるかというと、見た目でやらなきゃいけない。そうすると、肌の色なのか、髪の毛の色なのか、目の色なのか、と。今のいわゆる西側のその価値観では、それはやっちゃいけない基準で、外国人かどうかということを確認しに行くというのは絶対ダメ。

ではどうしたらいいのかというと、割引をする方、つまり、日本人の確認をしていくべき。日本人の確認も、見た目じゃなくて、IDで確認をする。だから、僕は、マイナンバーカードは全国民に公布して、こういう時に使えるようにする。デジタルで確認できるから。

マイナンバーカードについて、情報漏洩だとか、どうのこうのって言うけれども、デジタル社会にするというのはそういうことであり、「二重価格」は、一定の価格をきちっと、今よりも高めの価格を設定して、日本人の場合にIDでマイナンバーカードを提出した場合には、割引にするってことをやるべきだと思う。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):店に入ったら毎回マイナンバーカードを見せるという制度にするということか?

橋下氏:「二重価格」を設定するお店では、ということ。だから、そうではない店の時はマイナンバーはいらない。これは公共交通機関でも全然大いに活用できると思う。

松山キャスター:ただ、例えば同じグループのなかで、外国人の方と友達の日本人の方が一緒にいて、料金を分けなきゃいけないとなると結構辛い。

梅津キャスター:日本に在留資格があるかどうかっていうのを確認っていうのを、同じテーブルの中でも、旅行者なのか、留学生なのか、ということで価格が違うというのもある。

橋下氏:そこは、詳細はいろいろ決めなきゃいけないとは思うが、でも、僕は外国人観光客に対しては一定の金額、高めの金額を取るという方向性で制度設計してもらいたいと思う。

梅津キャスター:目の前で料金が変わるというのも含めて、黒岩知事はどんな風にとらえるか。

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インフラ整備のために「二重価格」は必要か

黒岩祐治(神奈川県知事):私は非常に抵抗がある。外国人の旅行者の皆さんは、日本人からすれば、日本からすれば、お客様。今までお客様どうぞ来てください、とずっと言ってたわけ。せっかく来てくれた人に、あんたたち、ちょっと高めにとりますと。罰金を徴収してるような感じだ。そういうことで分断するというのは、ちょっと私は非常な抵抗感がある。

橋下氏:でも、これはある意味、外国人観光客に対してきちっとサポートするためには、いろんな行政上のインフラ整備とか、病院にしても、何にしてもいろんな整備が必要なわけで。日本国民は、それは税としてお金を払ってるわけだから、外国人観光客にも税の代わりになるものを払ってもらうという考え方は必要だと思う。

黒岩知事:でも、その日本人もやっぱりいろんなその利益を受けてるわけ。だから、自分が住んでるところじゃないところに行ってる場合、同じようなことをなる。鎌倉に県外から来ているお客様は、鎌倉にもともと税金払ってないではない。それでも、やっぱりサービスは受けてもらってるわけだから。

橋下氏:ただ、それは国税払って、地方交付税で地方に還元になっているので、外国人観光客にある意味、日本全体をアトラクションと見てもらえれば、入場料的な趣旨でお金を取るっていうのは、僕は賛成だが、高橋氏はどうか。

高橋氏:これは制度として全部の店がやりなさいってわけじゃなくて、やらなくていい店があるなかで、自由に競争して、結果やらない店が外国人に支持されて残るという可能性もあるので、そこは両方の制度をやってみて、顧客に選ばせるっていうのはいいかもしれないなと思う。

橋下氏:やっぱり一極集中を価格で調整するっていう価格の調整機能は重要だと思う。一つの地域でそういう上乗せ価格をやるところがあれば、上乗せ価格をやらないところにもしかすると、外国人観光客が分散で行くかもしれないし。

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