自民党の自動車議員連盟は5日、10月の衆院選で落選した甘利明会長(党元幹事長)の後任に森英介元法相をあてる人事を決めた。自動車議連は党内最大級の議連の一つで、日本自動車工業会(自工会)や日本自動車会議所など業界団体から要望を受ける。

森氏は長年にわたり党の労政局長などを務め、労働政策に精通する。自動車議連の活動を主導してきたとの見方は少ない。5日の議連総会に参加した国会議員は「手腕は未知数」と話した。別の参加者は「想定外の人事だった」と驚いた。

歴代の議連会長は首相を務めた小渕恵三、森喜朗両氏に加え「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官などの重鎮が名を連ねる。

会長人事が注目されたのは2025年末に自動車税制の大型改正を控えるからだ。電気自動車(EV)の普及を見越した新しい税体系などが議論の対象になる見込みで、自動車メーカーの経営戦略に影響を及ぼす可能性が高い。

議連で甘利氏の影響力が残るとの見解が目立つ。関係者によると、甘利氏が森氏を後任に推した。甘利氏は森氏とともに麻生派(志公会)に属し、党税調で会長や顧問を務めた経験がある。

甘利氏は5日の総会で「従来の課税体系が抜本的に見直される時期に入る」と述べた。米国のトランプ次期政権による輸入品への追加関税について「どう乗り切るかというのが一つの課題だ」とも発言した。

同氏は党半導体戦略推進議連でも会長を担った。同議連は11月に同氏が名誉会長に就く人事を決定した。麻生派の山際大志郎元経済財政・再生相が会長に就任し、甘利氏が半導体政策に深く関与を続ける余地ができたとの声が広がる。

NTT法の廃止論も甘利氏がリードした。政府保有株の売却で経営の自由度を上げて国際競争力を高める狙いがあった。3日の党会合で廃止を求める意見は目立たなかった。政府は廃止を当面見送る方針だ。

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