国民民主党から役職停止処分を受け、記者会見の冒頭で一連の不祥事について陳謝し、頭を下げる玉木雄一郎代表=衆院第1議員会館で2024年12月4日午後1時12分、平田明浩撮影

 国民民主党は4日、知人女性との不倫問題を受け、玉木雄一郎代表を3カ月間の役職停止とする処分を決めた。「年収103万円の壁」の引き上げに向けた自民、公明両党との協議が佳境を迎える中、「党の顔」の離脱は大きな痛手だが、党へのダメージを極力抑えようとする思惑も透けて見える。

 「真摯(しんし)に、この重い処分について従い、受け入れたい」。玉木氏はこの日、処分が決まると神妙な表情で記者団に語った。

 党関係者によると、調査に当たった倫理委員会は玉木氏だけでなく、地方県連からも意見を聴くなどして対応を検討。その過程で「公認取り消し」など、より厳しい処分も浮上していた。

 ただ、倫理委は玉木氏が11月11日に不倫疑惑を報じられた直後に記者会見を開き、「真摯に対応した」点などを考慮し、「役職停止または解任」が相当と答申。具体的な処分内容は榛葉賀津也幹事長に委ねられ、「役職停止3カ月」で決着した。

 一方、倫理委の答申から処分決定までに約2週間を要した。榛葉氏は「党役員と相談していた」と説明するが、その間に「壁」引き上げなどを巡る与党との協議が本格化。11月27日には玉木氏が官邸を訪れ、原発の新増設を含むエネルギー政策について石破茂首相に提言した。玉木氏が処分を受ける前に、自公に対して一通りの要求を突き付けた形となった。

 処分期間はどのように決めたのか。「1カ月」なら年明けの通常国会召集前に代表復帰がかなう可能性が高いものの「短すぎる」との批判を招く可能性があった。一方、「半年」なら復帰が来年6月にずれ込むため、夏の参院選に大きく影響する。党は「3カ月」とした根拠を明示していないが、倫理委関係者は「1カ月だったら、答申の思いとは違うところだった」と述べ、3カ月以上を念頭に置いていたことを認める。

 今回の処分内容については党内から「3カ月で代表復帰することが有権者や支持者にどう受け止められるか。玉木さんの振る舞い次第だ」(中堅)と不安視する声もある。連合の芳野友子会長は玉木氏と会談した際に「けじめ」を迫るなど責任の明確化を求めており、労組幹部は「党としての判断なのだろうが、玉木氏自身の判断は示されていない。組合員が納得できるかはわからない」と不満を示す。

 榛葉氏は「いかなる交渉や政策実現にも影響が出ないようにするのが幹事長の責務」と強調するが、自公との協議の大詰めでの代表の離脱は、交渉力低下につながるとの見方は与野党に共通する。国民民主がこの3カ月間をどう乗り切るかが問われる。【安部志帆子、遠藤修平、池田直】

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