政治資金規正法再改正に向けた与野党協議で発言する自民党の渡海紀三朗政治改革本部長(奥中央)。同右は立憲民主党の大串博志政治改革推進本部長=国会内で2024年12月4日午前9時43分、平田明浩撮影

 与野党は4日、政治資金規正法再改正などに向けた2回目の協議を国会内で開いた。自民党が示した法改正の要綱案に、立憲民主党などが「本丸」と位置づける企業・団体献金の禁止に関する言及はなく、野党からは「問題の先送りだ」などの批判が相次いだ。与党は10日にも各党提出の法案に関する国会審議をスタートさせる考え。論戦の舞台は与野党の主張に隔たりが大きいまま特別委員会での議論に移ることになる。

 自民が示した法改正の要綱案は、政党から政治家個人に支出される「政策活動費」の廃止を盛り込む一方、使途公開に特に配慮が必要な支出を「要配慮支出」として新たに規定。これを監査する第三者機関「政治資金委員会」(仮称)を国会に設置するとしている。

 協議には与野党7党の代表者が参加し、約1時間15分の議論は、初回に引き続き全て公開された。立憲民主の大串博志氏は、自民の要綱案に企業・団体献金に関する記載がないことについて「30年来の改革の本丸なので来年に持ち越すことがないようにすべきだ」として今国会中に結論を出すよう求めた。

 共産党の塩川鉄也氏は、与党が企業・団体献金のあり方について第三者機関など有識者に意見聴取し、結論を来夏の参院選後に先送りする懸念が高まっていることについて「先送り、丸投げするのでは政治家の責任を果たせない」と批判。自民の小泉進次郎氏は「我々はそもそも禁止すべきだと思っていない。大切なのは禁止ではなく公開だ」と反論し、議論は平行線をたどった。

 自民要綱案は、要配慮支出について、外交上の秘密など国の重大な利益を害するおそれがある支出▽法人などの業務に関する秘密を害するおそれがある支出――などと規定。政党から支出を受けた者の氏名や住所、支出の目的、年月日を記載しないことができるとしている。

 共産の塩川氏が要配慮支出について「(政策活動費に代わる)新たなブラックボックスを作るものだ」と問題視すると、自民の渡海紀三朗氏は「抜け穴を作るつもりは一切ない」と反論。外交など配慮が必要なケースを維持することで「政治の質は上がる」と理解を求めたが見解の溝は埋まらなかった。

 立憲の大串氏は協議後、記者団に、自民要綱案について「政策活動費の廃止と言いながら、非常に多くの抜け穴がある」と語り、野党各党が共同して法案を提出する考えを示した。【高橋祐貴、池田直】

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