衆議院の本会議で村上総務相は3日、選挙の立候補者が他候補の当選を目的とした選挙運動を行うことについて、公職選挙法違反になり得るとの考えを示した。
これは、立憲民主党の辻元代表代行への質問に答えたもので、辻元氏は、11月の兵庫県知事選挙で、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が立候補に際し、自身の当選ではなく、兵庫県知事の斎藤元彦候補を応援する選挙運動を行ったことなどを念頭に「選挙においては各候補者のポスター、使えるスピーカーの数などに制限がかかっている。これは公平性を担保するためだ。量的に制限のある選挙運動で、ある候補者が他の候補者の選挙運動を行うことはできるか」と質問した。
さらに「仮にこれが許されれば、誰かを当選、または落選させるための狙いで複数人が立候補する選挙運動が可能になる」として、選挙を所管する村上総務相に答弁を求めた。
これに対し、村上総務相は「一般論で申し上げると、選挙運動は公職選挙法で認められている範囲内で行われる必要があり、公職の候補者が他の候補者の選挙運動を行う場合には、対応によっては公職選挙法上の数量制限などに違反する恐れがあると考えている」と述べ、一般論として法律に違反する懸念がありうるとの立場を示した。
また、辻元氏は「兵庫県知事選挙、名古屋市長選、衆院選でもSNS上での偽情報拡散による選挙妨害が指摘された」とした上で、「公職選挙法では候補者の偽情報を公表することを禁じ、罰則もある。SNSへの偽情報の投稿も(禁止・罰則の対象に)該当するか」と総務相に見解を求めた。さらに「特定の候補者を応援する動画や書き込みの投稿を行う人を有償で募集する行為は、公職選挙法に当たるか」と質問した。
これに対し、村上総務相は「公職選挙法において、虚偽事項公表罪がもうけられている。SNSを含めてインターネット上の発信なども公職選挙法の対象になる」と答弁し、一般論として、禁止・罰則の対象になるとの考えを示した。
さらに「例えば業者が主体的に選挙運動の企画立案を行い、当該業者が選挙運動の主体と見て取られる場合、当該業者に対価として報酬を支給することは、公職選挙法上の買収罪に該当する恐れがある。一方で、業者が単に候補者の指示のもとに具体的な指示内容に従って、一連の機械的な作業を行ったと認める場合は、業者への報酬の支払いは買収罪に該当しないと考えられる」との認識を示した。
辻元氏が、兵庫県知事選、名古屋市長選、衆院選挙など具体的な選挙について言及した上で質問をしたことに関して村上総務相は「個別の事案が公選法の規定に該当するか否かについては具体的な事実に即して判断されるべきだ」として、個別選挙についての判断への言及は避けた。
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