第215特別国会は14日、石破茂首相の指名選挙など4日間の日程を終えて閉会した。政府・与党は2024年度補正予算案を審議する臨時国会を28日召集を軸に調整している。与党は衆院選での過半数割れを受け、委員長ポストの配分などで大幅な譲歩を強いられた。本格論戦は、臨時国会に持ち越される形となったが、補正予算案や政治資金規正法の再改正など協議事項は多い。
自民、公明両党と、野党7党1会派の国対委員長らは14日、国会内で会談。立憲民主党の笠浩史国対委員長は自民の坂本哲志国対委員長に対し、早期の臨時国会召集や政治倫理審査会の開催、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開に向けた改正歳費法の速やかな成立を要望した。
特別国会の会期の設定に当たっては、臨時国会の早期召集や予算委の開催などを条件に与野党が合意した経緯がある。坂本氏は野党の要求に「しっかり受け止める」と回答し、会談後、記者団に「月内に(臨時国会を)召集できれば、という思いだ」と語った。
笠氏は会談で「与野党逆転の状況、野党が多数を占める中で、国会も変えていかなければならない。きちんと熟議を尽くして結論を得ていく」と表明。政策決定の透明性向上に向けては「与野党間で新しい国会のあり方を見せていくための努力をしていかなければならない」と付け加えた。
特別国会では、笠氏が指摘する「新しい国会」の萌芽(ほうが)が垣間見えた。予算委などを通じた政策議論はなかったものの、国会の人事を巡る駆け引きは野党主導で進んだ。野党は衆院の17常任委員会、7特別委員会、3審査会のうち、与野党論戦の主戦場となる予算委員会を含む12の委員長・会長職を獲得。各委員会の委員数も与野党で拮抗(きっこう)する構成となった。本格論戦に向けた「土俵」が整った格好だ。
臨時国会では、首相の所信表明演説や各党の代表質問、予算委での補正予算案審議などが行われる予定。「政治とカネ」を巡っても、政治資金規正法の再改正や、衆参両院での政治倫理審査会の開催などについて与野党で激論が繰り広げられそうだ。「数の力」を失い、野党の協力が不可欠となった与党にとっては厳しい国会運営となる。
臨時国会を終えると、間を置かずに来年の通常国会が始まり、通常国会閉会後には参院選に突入する。臨時国会は、野党にとっても現在の攻勢ムードが続くかどうかの試金石となるため、立憲幹部は「国会のあり方の変化を良い変化だと有権者に思ってもらえるかが勝負だ」と気を引き締めた。【森口沙織、中村紬葵、池田直】
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