岸田文雄首相

 岸田文雄首相は2日、訪問先のパリで、生成人工知能(AI)の安全な利活用に向けたルールを形成する国際的な枠組み「広島AIプロセス・フレンズグループ」の設立を表明した。経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に49カ国・地域が参加する。急速に発展する生成AIを巡り、自由や民主主義などの理念を共有する日米欧が国際ルール作りの主導権を握る狙いだ。OECD閣僚理事会に伴う生成AI関連の会合で明らかにした。

 広島AIプロセスは、利用者の指示で文章や動画、音声などを作り出す生成AIに関する主要7カ国(G7)の合意で、岸田首相が議長を務めた昨年5月のG7広島サミットで発表していた。偽情報の拡散抑止、生成AIが作ったコンテンツを識別する「電子透かし」の技術開発推進などを盛り込み、各国に具体的な対応を促す内容。

 今回の「フレンズグループ」はこの広島AIプロセスに賛同する国・地域の自発的な枠組みで、安全・安心な生成AIの活用に向けて連携する。

 首相は「我々は、偽情報のリスクといった(生成AIの)影の側面とも闘わなければならない。リスクを軽減しつつ革新的な機会を最大化するには、国際ガバナンスの形成が急務だ」と指摘。「フレンズグループのメンバーと世界中の人々が安全、安心で信頼できるAIを利用できるよう協力を進める」と強調した。

 首相はまた、官民による国際的な連携組織「AIに関するグローバルパートナーシップ」(GPAI)の拠点を東京に新設する方針も示し、「専門家による技術実証などのプロジェクトを支援する」と語った。GPAIは「責任あるAI」の実現を目指して専門的知見を集積する枠組みで、米国やフランスなど28カ国と欧州連合(EU)が参加している。【パリ村尾哲】

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