27日に投開票が行われた衆議院議員選挙で政治とカネの問題から自民党が逆風とされた中で県内では3つの小選挙区のうち、2つの議席を自民党が勝ち取りました。

比例での出馬が認められず「背水の陣」で臨んだ自民党の加藤竜祥氏は喜びをかみしめると同時に、信頼回復を誓いました。

当選から一夜明け、長崎2区から立候補し、再選を果たした自民党・前職の加藤竜祥さん(44)は、「地域課題の解決に全力をあげる」と決意を語りました。

加藤竜祥 氏(44)
「県土の7割が離島半島地域でいわゆる条件不利地。各種インフラ等の整備に努めてまいりたいし、長崎県の基幹産業は紛れもなく農林水産業」「しっかりと向き合いながら取り組んでいければ」

 水副大臣も務めた父親から続く地盤である島原半島の有権者は、加藤さんの2期目に期待を寄せています。

商店街の人
「地方創生と言っているので」「昔まではいかなくてもにぎわいが戻ってほしい」

60代
「色々な交通網とか、他の地域と比べたら不便なところがあるので、力を入れてほしい」

80代
「島原半島は人口も少なくなって大変。そういうことを考えていただきたい。若い方のための島原を」

一方で、政治とカネの問題が大きく取り沙汰されたことから、投票を見送った有権者もいました。

70代
「誰に投票しても同じだと思って、おまけにはお金の問題もあった。(期待できない?)はい」

収支報告書に10万円の不記載があった加藤さんは、今後も信頼回復に取り組むとしています。

加藤竜祥 氏
「地域の課題が山積しているので」「解決に導けるように最大限の努力をする姿を見せながら徐々に信頼回復を進めていければ」

今回の衆院選は区割りが変更されて初めてとなります。

長崎1区では国民民主党の前職・西岡秀子さん(60)が8万7千票余りを獲得し、新人4人を大きく引き離して3回目の当選を果たしました。

西岡秀子 氏
「長崎市民の皆さまの本当に切実な声や声にならない声も、引き続きこれからも国政に伝えてまいりたい。その思いでいっぱいでございます」

敗戦の弁を述べる自民・新人 下条博文 氏
「私の力不足であります。そして思った以上に自民党に対しての逆風が強かった」

自民党の新人、下条博文さん(49)は県議会議員を辞職し、約1年4カ月の間、準備を進めてきましたが及びませんでした。

下条博文 氏
「知名度を上げていくという時間がなかなか醸成されずに、選挙期間中に入ってからそういった活動を、知名度を上げていくという
活動をしましたので、そこに難しさがあった選挙でした」

区割りの変更で長崎2区では前職の2人が争いました。

結果は10万円の不記載で「比例復活なし」という背水の陣で臨んだ自民党の前職・加藤竜祥さん(44)が1万4千票以上の差をつけて
逃げ切りました。

加藤竜祥 氏
「逆風の中での選挙、原因はご承知の通り政治とカネであります。まずはしっかりとこの問題に向き合うこと、直視をすることが自民党全体に求められている」

立憲民主党の前職 山田勝彦さん(45)は比例で復活を果たしています。

山田勝彦 氏
「国会に戻していただいたことに素直に素直に感謝申し上げます」「改めて国会に戻って本当の意味での政治改革を進めなければならない」

長崎3区では自民党の前職・金子容三さん(41)がすべての市町を制し、9万930票を獲得しました。

金子容三 氏
「今まで以上に皆さま方の声をしっかりと受け止め、皆さま方のご指導をいただきまして必ず県北、五島をいい町にしていく」

立憲民主党の元職・末次精一 氏(61)は今回の選挙を「最終決戦」として挑みました。

末次精一 氏
「ひとえに私一人の力量不足でこのような結果になったと思っております」「改めて本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます」

小選挙区の投票率は52.48パーセントで、前回を4.41ポイント下回りました。

比例区の投票率は52.47パーセントで、自民党が16万5000票あまりと、全体の30パーセントを占めていて、立憲民主党は19.4パーセントなどとなっています。

長崎からは1区が国民、区と3区は自民が制したほか、立憲が比例区で復活を果たし与党と野党、それぞれ2議席を得ました。

しかし、全国では立憲民主党と国民民主党が躍進する一方、自民党と公明党が議席を大きく減らしました。

自公両党で215議席と、過半数となる233議席を割り込みました。

過半数を割り込むのは2009年の政権交代のとき以来です。

一方、野党では立憲民主党が148議席(+50)と大きく増やし、野田代表は政権交代も視野に各党と対話する方針を示しています。

今回、野党の多くが「政治とカネの問題」を争点に挙げ、「投票に行こう」と呼びかけていましたが、投票率は大きく下がりました。

有権者の中にはそもそも政治に対する不信感を抱いていたり、「どうせ何も変わらない」と政治に関心がないと話す人もいました。

県内で唯一、投票率が上がったのは平戸市で62.45パーセントと、前回より4.24ポイント上がっています。

一方、五島市では54.11パーセント(前回比 -14.17)、雲仙市では54.50パーセント(前回比 -10.84)と、10ポイント以上低くなりました。

また、五島市や壱岐市、対馬市、小値賀町、新上五島町、東彼3町、大村市などでも5ポイント以上、下がりました。

区割りの変更で有権者にとっては候補者の顔ぶれが変わったことも少なからず影響した可能性があります。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。