第50回衆院選は28日、定数465(小選挙区289、比例代表176)の全議席が確定した。自民党は191議席(小選挙区132議席、比例代表59議席)で、公示前の256議席から大幅に減らして大敗した。公明党も公示前から8議席減の24議席にとどまった。与党は計215議席で、過半数(233議席)を大きく割り込んだ。自民派閥の裏金事件をはじめとする「政治とカネ」の問題が大きく響いた形だ。
石破茂首相(自民総裁)は政権継続に意欲を示しているが、求心力の低下は避けられない。与党内で責任論が浮上する可能性もある。
自民は28日午前、臨時の役員会を開き、今後の政権運営について協議する。森山裕幹事長が続投に意欲を示す一方、小泉進次郎選対委員長は辞意をにじませており、今後の執行部体制についても話し合われるとみられる。同日午後には首相が記者会見を開く予定だ。
自民は裏金問題を受けて非公認とした自民系無所属の当選者の追加公認を視野に入れる。だが当選したのは萩生田光一氏、平沢勝栄氏、西村康稔氏の3人にとどまる。ほかの与党系無所属数人を加えても過半数には届かず、「少数与党」となる可能性が高い。
首相は27日夜のテレビ朝日番組で「これから先、どうやって我々が掲げた政策を実現するのか。そのことに向けた努力を最大限しなければならない」と述べ、政権継続に意欲を示した。自民執行部は国民民主党や日本維新の会など一部野党と政策ごとに協力する「部分連合」で政権運営を継続したい構えだが、野党との協議は難航する可能性がある。
自民の裏金問題は連立政権を組む公明党にも大きな打撃となり、石井啓一代表が落選。比例で20議席を獲得したが、小選挙区は4議席にとどまった。山口那津男前代表は28日未明、記者団に「新しい体制を作っていかざるを得ない」と語り、代表交代は避けられないとの見通しを示した。
一方、最大野党の立憲民主党は公示前の98議席から50議席増の148議席(小選挙区104議席、比例44議席)に躍進した。野田佳彦代表は「首相指名を取りに行くのが当然だ」と意欲を示しており、立憲は28日午前の臨時の執行委員会で他の野党との連携について協議する方針だ。
野田氏は28日朝、衆院選の結果を受けて「(自民が)自公以外に声かけをしてくる可能性は十分ある。注意深く見ながら、逆にこちらのチームをどう作っていくか心を砕いていきたい」と記者団に表明。自民からの野党勢力の切り崩しに対して警戒感を示した。
国民民主党も公示前の7議席の4倍の28議席(小選挙区11議席、比例17議席)を獲得し、躍進した。玉木雄一郎代表は28日朝、連合の芳野友子会長と面会し、自公両党との連立政権には入らないとの意向を伝えた。一方、自民、立憲との政策協議には応じる考えを記者団に示した。
日本維新の会は地盤の大阪府の小選挙区で議席を独占した一方、比例代表が伸び悩み、公示前の43議席から38議席(小選挙区23議席、比例15議席)に減らした。共産党も公示前の10議席から8議席に減らした。
れいわ新選組は公示前の3議席から3倍の9議席に躍進。社民党は沖縄2区の1議席にとどまった。参政党は比例で3議席を確保した。政治団体「日本保守党」は初となる3議席を獲得した。
女性の当選者は全体で73人となり、2009年衆院選の54人を上回り過去最多を更新した。【影山哲也、中村紬葵、遠藤修平】
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