保育所への入所ができずに空きを待つ「待機児童」について、鹿児島市では、この待機児童の数が2022年に全国で最多となっていましたが、その後の対策により、2024年4月1日現在で初めてゼロになったことが5月1日、明らかになりました。

マニフェストに「待機児童ゼロ」を掲げる鹿児島市の下鶴市長は会見で「必要な対策を行った結果」とコメントしました。

鹿児島市・下鶴隆央市長
「令和6年4月1日現在の保育所等の利用待機児童数はゼロとなりました」

5月1日に行われた鹿児島市の定例会見。下鶴市長は4月1日現在の認可保育所の待機児童が解消されたことを明らかにしました。

鹿児島市の過去5年間の4月1日時点の待機児童数の推移をみると、2020年の216人以降、増減を繰り返し、2022年には136人に。この時の数字は全国でワーストという結果でした。

マニフェストに「待機児童ゼロ」を掲げていた下鶴市長が急遽会見を開く事態に。


鹿児島市・下鶴隆央市長
「講じることができる全ての政策手段を動員して、必ず2年後に待機児童ゼロを実現する」


これを受けて、鹿児島市では待機児童緊急対策室を新設し、主に3つの柱に分けてさまざまな対策を行ってきたということです。


まず1つ目は「子どもたちの受け皿確保」です。

新たな保育所を設置する場合や、既存の保育施設が受け入れ人数を増やすための改修費用などを補助することで、鹿児島市の認可保育所の全体の定員は、この1年間で395人分増加したということです。


2つ目は「保育士の確保」です。

鹿児島市から常勤の保育士に月額2万円を給付し、処遇の改善を図ったほか、奨学金の返済補助も行い、この1年間で保育士は150人増加しました。


3つめは「保護者への情報提供」です。

保育施設の空き情報を積極的に提供し、きめ細やかなマッチングにも努めてきたということです。こういった対策が功を奏し、待機児童ゼロを実現したことに下鶴市長は…。


鹿児島市・下鶴隆央市長
「細かな数字、アンケートも含めて積み上げて、必要な対策を講じてきた」
「まさにデータに基づく政策立案、こういった意味でも待機児童ゼロの実現もそうだが今後の鹿児島市政を進める上でも大きな一歩となったと捉えている」


一方、鹿児島市保育園協会の青木和彦理事長はこう話します。

鹿児島市保育園協会・青木和彦理事長
「様々な点でここ数年政策がどんどん出てきたので、大変効果があったのだと思う。近くに空いている園がある時に、ショートメッセージを送るなど様々な方法で保護者に提案をして、待機児童はもちろん、保留児童解消のために努力したことが1番大きかったと思う」

待機児童ゼロの継続に向けての課題については。

「保育に関わる職種の人件費は全国的に見てもかなり低い。本来は高い賃金、高い人件費でまかなわなければ足りないところが、やっと本来の姿に近づいてきたという感じがする」

2024年度の鹿児島市は当初予算で、待機児童対策として約15億円を計上していて、待機児童ゼロを安定的に維持したいとしています。


美川愛実アナウンサー
私もここ数年の県内の待機児童関連を取材していますが、この問題に関してはよりよい方向に改善されていると感じます。
その一方で保育施設で働くみなさんは賃金や労働時間の面でも引き続き負担が大きい現状があります。働き手の意欲に頼るだけではなくて、引き続き行政による環境づくりも求められていると感じます。

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