平沢勝栄氏=東京都千代田区で2020年10月15日、丸山博撮影

 衆院選が15日公示され、12日間の論戦がスタートした。自民党派閥の裏金事件に関わった候補者は何を訴えるのか。与党に対抗する野党の主張は――。注目される主な選挙区の動きを追った。

 下町の雰囲気を残す東京都葛飾区が入る東京17区。10期連続当選を目指す前職の平沢勝栄元復興相(79)は、裏金問題で自民党の公認を得られず、初めて無所属で臨むことになった。平沢氏は政治資金収支報告書の不記載額が1817万円に上り、党の役職停止1年の処分を受けた。葛飾区内の神社で開いた出陣式で、裏金問題についての謝罪はなく、約10分間の演説では「石破総理を実現するために頑張った」などこれまでの実績を強調。裏金問題による逆風は意識しているとみられ、最後に「反省しろよ自民党。反省しろよ平沢」と述べ、選挙カーに乗り込んだ。

 2021年の前回選で平沢氏に2倍以上の票差をつけられ完敗した野党陣営は、同じ顔ぶれの3人が出馬し、「政治とカネ」について自民党への批判を強めている。共産新人の新井杉生氏(65)は平沢氏の政治資金収支報告書を手にマイクを握り、「平沢氏は裏金を、領収書がいらない使い方をしたんだという一番透明性がないタイプ。徹底的に究明する」と声を張り上げた。

 他の2候補では、維新新人の猪口幸子氏(68)が企業献金を受け取らない「公平でクリーンな政治」を掲げているほか、国民民主新人の円より子氏(77)が戦後最短となる首相就任から8日後の解散を「裏金隠しと言われても仕方ない」と訴えている。【長屋美乃里、西本紗保美】

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