日本記者クラブ主催の討論会に臨む自民党の石破総裁(12日、東京都千代田区)

野党は12日の日本記者クラブ主催の7党党首討論会で、政治改革の姿勢を巡って石破茂首相(自民党総裁)と公明党の石井啓一代表に攻勢をかけた。首相は衆院選(15日公示―27日投開票)での政策活動費の使用について「抑制的に使う。違法の疑いがある使い方はしない」と述べた。

自民党は衆院選公約で、政策活動費を巡る政治資金制度改革に「将来的な廃止も念頭に取り組む」と記載した。国民民主党の玉木雄一郎代表は「廃止を掲げた公約で戦う選挙で政策活動費を使うのは矛盾しているのではないか」と指摘した。

首相は「いかに使うかは現行法では合法だ」と強調し、党勢拡大や政策の周知に使用する考えを改めて示した。首相は記者側から使用することに後ろめたさがないのかを問われ「それはある」と語った。

自民党は政治資金問題で収支報告書に不記載があった議員らを非公認や比例代表での重複立候補の禁止にした。首相は非公認になった議員が衆院選で当選した場合の追加公認に関し「どれだけ信任を得たかが重要な判断要素だ」と説明した。

追加公認になった議員がいた場合に「すぐに要職に登用するとは一度も言っていない」と話した。

自民党と連立政権を組む公明党も追及を受けた。同党は自民党が収支報告書への不記載を理由に非公認を決めた埼玉13区の三ツ林裕巳元内閣府副大臣と兵庫9区の西村康稔元経済産業相を推薦した。石井氏は「地元の意向を最大限尊重している」と正当性を主張した。

石井氏が衆院選で出馬する新区割りの埼玉14区は、選挙区の一部がかつて三ツ林氏の地盤だった。西村氏の地元の兵庫も公明党が2選挙区で独自候補を擁立し日本維新の会などとの激戦が見込まれる。自民党からも「自民票欲しさだ」との見方がくすぶる。

衆院選を巡っては野党第1党の立憲民主党がめざす野党候補者の一本化といった野党連携が進んでいない。野田佳彦代表は討論会で「限られた時間だが最後まで粘り強く、対話のチャンスがある限りは続けていきたい」と力説した。

立民などは衆院選で自公の過半数割れを目標に掲げる。自公は過半数を維持できない場合、連立政権の枠組みを広げて政権の存続を狙う可能性がある。

日本維新の会の馬場伸幸代表は「(選挙後の各政党の議席数が)今後の判断に大きく影響する」と発言した。

玉木氏は自公連立政権に加わる可能性があるか問われ「選挙後はどうなっているかはわからない」と答えつつ「日本に必要な政策を進めていくことで一致できれば協力する」と言及した。

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