衆議院が解散され一礼する石破茂首相(前列右)ら=国会内で2024年10月9日午後4時4分、幾島健太郎撮影

 衆院は9日の本会議で解散され、政府は臨時閣議で衆院選を「15日公示、27日投開票」とする日程を正式決定した。自民党派閥の裏金事件に代表される「政治とカネ」への対応や物価高を含む経済政策などを主要争点に、与野党の選挙戦は事実上幕を開けた。

 石破茂首相は9日夜、解散を受けた記者会見に臨み、この解散を「日本創生解散」だと命名した。持論とする地方創生を「再起動する」とし「大改革を思い切って実行するには国民の信任が必要だ」と強調した。

 首相は勝敗ラインについて「自民党、公明党で過半数(233議席)を目指したい」と述べ、低めのハードルを設定した。「この選挙が非常に厳しいということは私自身よく承知している」とし、自公で過半数を割り込んだ場合の対応について「コメントは控える」と語った。衆院の定数は465(小選挙区289、比例代表176)。与党の解散時勢力は自民256(党員資格停止中の下村博文元文部科学相、西村康稔元経済産業相を除く)、公明党32の計288議席。

 立憲民主党などの野党は「政権交代」を目指し裏金批判を強めている。ただし立憲が目指す野党間の候補者調整には日本維新の会、共産党などが慎重姿勢を示している。

 衆院選は岸田文雄前政権発足直後の2021年10月31日以来、約3年ぶり。石破首相は首相就任前日の9月30日、10月27日投開票での衆院選実施を表明した。1日の石破首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短となる。解散から投開票までは18日間で、21年10月の前回衆院選の17日間に次いで戦後2番目に短い。小選挙区定数「10増10減」などを受けた新たな区割りで初めて実施される。

 政府は9日午前の臨時閣議で憲法7条(天皇の国事行為)に基づく解散詔書を決定。午後に首相と立憲の野田佳彦代表ら野党党首による党首討論を通常より35分長い80分間実施した。

 首相は党首討論で「日本国、国民を守り、デフレを脱却するためには、私どもが政権を引き続き担うことが最も肝要だ。解散して正々堂々、国民の審判を仰ぐ」と強調した。立憲の野田氏は、自民は不記載議員の大半を公認するとし、「裏金隠し解散だ」と批判。政権交代こそ最大の政治改革だと訴えた。

 首相は9日夜の会見で、地方創生に向けた新たな本部を「今週にも設置する」と表明。自衛官の処遇改善などに向けた関係閣僚会議を同日設置し、対策の方向性を年内にとりまとめるとした。「裏金議員」らの公認を巡り「有権者に真摯(しんし)に説明を尽くして理解を得なければ国民の信頼を取り戻すことはできない」とした。【影山哲也、池田直】

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