米海兵隊のオスプレイが駐機する普天間飛行場=沖縄県宜野湾市で2024年3月9日午後4時34分、喜屋武真之介撮影

 石破茂内閣が1日に発足した。相次ぐスキャンダルで根深い政治不信が広がる一方、物価高や地方の衰退、少子化など待ったなしの課題が山積している。月内に総選挙が控えるなか、それぞれの地域で暮らす人たちは新政権や政治に何を求めるのか。

 石破首相は米軍の法的な特権を定めた日米地位協定の改定に意気込みを示す。米軍基地が集中する沖縄県では地位協定を巡る問題が度々起こり、日米両政府は運用の改善で対処してきたが、1960年の締結から一度も改定はしていない。石破氏は那覇市で9月17日にあった自民党総裁選演説会でも「運用の改善だけで事が済むとは思わない」と踏み込んだ。

 宜野湾市の米軍普天間飛行場近くで自然食レストランを営む町田直美さん(68)は「期待するしかない」と語る。町田さんは有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染問題の解決に取り組む市民団体の代表も務める。汚染源として米軍基地が疑われるが、地位協定に基づき基地の管理権は米国側にあり、県が立ち入り調査を求めても米軍が応じないケースが多い。町田さんは「形だけの改定ではなく、被害を受ける住民の人権がしっかり守られる方向に改定してほしい」と注文した。

 玉城デニー知事も発表したコメントで、岩屋毅外相と中谷元防衛相に「日米地位協定の抜本的見直しや過重な基地負担の軽減に真摯(しんし)に取り組まれることを期待する」とした。県が反対してきた普天間飛行場の名護市辺野古移設については「辺野古移設が唯一の解決策との固定観念にとらわれることなく、県との対話の場を設けていただきたい」と求めた。【比嘉洋】

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