28、29日実施の毎日新聞世論調査で、自民党総裁選で論点となった項目についての賛否を聞いた。派閥の政治資金パーティー裏金事件の実態解明に新総裁が「取り組むべきだ」は77%、「取り組む必要はない」は15%にとどまった。選択的夫婦別姓の制度導入に「賛成」は50%、「反対」は28%だった。
裏金事件の実態解明に「取り組むべきだ」との回答は自民支持層でも57%に上った。
裏金づくりをいつから、誰が始めたのかは現在も明らかになっていない。自民総裁選では9人の候補者全員が、検察の捜査終結などを理由に再調査に後ろ向きな姿勢を示した。石破茂総裁も「国民が納得していなくて説明責任を果たしたことになるとは思っていない」などと語る一方、再調査に関して明確な方針を示すことは避けている。
選択的別姓 全年代「賛成」上回る
選択的夫婦別姓に「賛成」だったのは男性47%、女性54%。「反対」は男性35%、女性21%だった。全ての年代で「賛成」が「反対」を上回ったが、30代では「賛成」6割強、「反対」2割強だったのに対し、70歳以上では「賛成」約4割、「反対」約3割と、年齢が高くなるほど賛否の差が狭まる傾向があった。
主要野党支持層や無党派層では「賛成」が「反対」を大きく上回った。自民支持層では「賛成」40%、「反対」38%と拮抗(きっこう)した。
石破氏は総裁選で「私はかねて選択的夫婦別姓に積極的な姿勢を見せている」としつつ、「我が党においていろんな議論があるので、総裁として、いつまでにと断じることはしない」とも語っていた。
党から議員個人に支給され、使い道を明らかにする必要がなかった「政策活動費」については、「廃止すべきだ」が78%を占めた。「廃止する必要はない」は12%にとどまった。
政策活動費の廃止は茂木敏充幹事長が総裁選で掲げ、他の候補者も追随。石破氏も「(他党と同時に)やめるのはいい」などと語ってきた。
解雇規制の緩和に「反対」は45%、「賛成」は26%だった。解雇規制の緩和は総裁選で小泉進次郎元環境相が提起し、一時は主要論点化したが、小泉氏自身が雇用保障の重要性を強調するようになり下火になった。石破氏は労働者の権利と経営側の人材確保を両立させる観点から議論すべきだなどと訴えていた。
過去最多の候補者9人による総裁選で論戦が深まったと思うかとの質問には、「深まったとは思わない」との回答が55%を占めた。「深まったと思う」は24%だった。
自民内には総裁選の候補者増に伴い総裁選関連の報道が増え、自民の支持率上昇につながったとの見方がある。一方で時間的な制約から、各種討論会などでの1人当たりの持ち時間が限られたことを問題視する声もあった。【樋口淳也】
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