兵庫県議会(定数86)に不信任決議を全会一致で可決された斎藤元彦知事(46)は26日午後、県庁で記者会見を開き、県議会を解散せずに失職を選び、出直し知事選に出馬することを正式表明した。「これまでの一つ一つの対応は法的にも適切にやってきたとの思いは今も変わらない」としつつ、「県政が混乱したのは認めざるを得ない」と述べた。
県議会の全ての県議86人は9月定例会の開会日だった19日、県政を混乱させた道義的責任は重いとして斎藤氏に対する不信任決議案を共同提案し、全会一致で可決された。
斎藤氏は地方自治法の規定に基づき、29日までに失職・辞職か議会の解散かの判断を迫られる重大局面を迎えていた。
総務省によると、都道府県知事に対する不信任決議は5例目で、過去4例はいずれも知事が失職・辞職している。
一連の問題を巡っては、県西播磨県民局長だった男性(60)が3月、斎藤氏のパワハラを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に匿名で配布した。
間もなく県の調査で男性が特定されると、斎藤氏は会見で「内容はうそ八百だ」「公務員失格」と激しい言葉で批判し、退職を認めず局長の職も解いた。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、県は5月、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」として元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。
疑惑の真相究明を目指した県議会は6月、51年ぶりに調査特別委員会(百条委)を設置。元局長の証人尋問を予定していたが、元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられている。
斎藤氏は告発内容を一貫して否定したが、百条委が県職員を対象に実施したアンケートでは、多数の職員から「知事のパワハラを見聞きした」などとする回答が寄せられた。
しかし、斎藤氏は百条委に初出頭した8月30日の証人尋問で、「(元局長への処分は)今も適切だと思っている」と証言した。9月6日の尋問では県政の混乱について陳謝する一方、「(自身の)道義的責任は何かわからない」と発言。これまで疑惑を一貫して否定していた。
斎藤氏は総務省出身。大阪府財政課長を経て2021年7月、自民党と日本維新の会の推薦を受けて兵庫県知事選に立候補。前知事の実質的後継だった元副知事らを退けて初当選した。任期は25年7月までだった。【井手千夏、木山友里亜】
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