自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 自民党が刷新を訴える今回の総裁選。投票権のない街の人々も関心を寄せている。

 東京・丸の内。過去最多の9人が立候補したことについて、会社員の中山涼さん(28)は「総裁選は限られた一部の人しか立候補できない『既定路線』のイメージがあった。出たい人が出られるようになったのは良いことだが、本来あるべき姿になっただけ」と語る。自身は税金や家賃の高さに悩んでいる。「働いても手取りが減っていく。いつも支出を考えてしまって楽しめないので、とにかく支払うお金を減らしてほしい」と経済対策を求めた。

 候補者の半数を超える5人は、親族から地盤を引き継ぐなどした『世襲議員』だ。東京・上野公園にいた中田明子さん(52)は「気に入らない。恵まれた生活をしてきた『お坊ちゃん』育ちの人には、お米が高いことの大変さも分からないのでは」と感じている。鈴木綾子さん(44)は「世襲でも党を変える意思がある人ならよいが」と望んだ。

 派閥の裏金問題については怒りの声が絶えない。大阪・梅田にいた高田浩吉さん(65)は「裏金問題に関わった議員は説明もせずに逃げ続けている。有権者が忘れるのを待っているのではないか。政治に不信感があるので、次の総裁にも期待できない」と吐き捨てるように言った。

 候補者のうち女性は2人だった。福岡市のJR博多駅前にいた会社員の矢野由紀子さん(51)は、4人の候補者のうち2人が女性だった前回2021年の総裁選を引き合いに「女性が複数人立候補したのは良かったが、全体の候補者数が増えたのに割合的に減ってしまったのは残念」と女性候補者数の伸び悩みを指摘。「女性候補が『女性だから』ではなく、政策が評価されて首相になれば、自民党や日本の政治のイメージが大きく変わるのではないか」と期待した。【塩田彩、西本紗保美、長沼辰哉、池田真由香】

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