防衛省は10日、鹿児島県西之表市の馬毛島で、建設を進めている自衛隊基地の完成時期が当初より約3年遅れ、2030年3月末を見込んでいると発表した。昨年1月に着工し、当初は工期をおおむね4年と見込んでいた。遅れは、能登半島地震の影響で、作業員受け入れに向けて馬毛島につくる仮設宿舎の建設に必要な人員と資材が不足したためと説明している。

また、周辺の波が荒く、予定していたほど資材の運搬が進んでいないことや、馬毛島で掘削した土砂が想定より水分を多く含み、盛り土に適さなかったことも、工事の遅延につながっているという。

馬毛島には滑走路2本を整備し、小笠原諸島・硫黄島で行われている米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を移転する計画。防衛省は、滑走路と飛行場の関連施設は27年末に完成するとしている。

宮崎県の航空自衛隊新田原基地に配備する予定のF35Bステルス戦闘機や、陸上自衛隊の離島防衛専門部隊「水陸機動団」(長崎県)の水陸両用車AAV7の訓練にも使う。

馬毛島は、西之表市のある種子島の西約12キロに位置する。種子島には工事関係者が数多く集まり、家賃の高騰や、宿泊施設の不足から観光業に影響が出るなど、市民生活に支障が生じている。

八板俊輔市長は「基地整備に起因する市民生活への影響は最小限にとどめる必要がある。防衛省にはこれまで以上に対策を強化するよう求める」とのコメントを出した。〔共同〕

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