宜野湾市長選が告示され、候補者の街頭演説に耳を傾ける人たち=沖縄県宜野湾市で2024年9月1日、喜屋武真之介撮影

 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市で、前市長の死去に伴う市長選が1日告示された。届け出順に、新人で元市議の桃原功(とうばるいさお)氏(65)=立憲民主、共産、社民、地域政党・沖縄社会大衆党推薦▽新人で磁気探査会社代表の比嘉隆氏(47)▽元市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏(60)=自民、公明推薦――の無所属3人が立候補した。佐喜真氏と桃原氏の事実上の一騎打ちの構図。普天間飛行場の県内移設を容認してきた前市政の立場が継続されるか否かが焦点となる。投開票は8日。

 日米両政府は1996年に普天間飛行場の返還に合意したが、名護市辺野古への県内移設が条件となり、28年たっても返還されていない。宜野湾市の松川正則前市長は、政府が進める辺野古移設計画を容認してきたが、7月に急逝した。

再登板狙う佐喜真氏「松川市政を継続」

 佐喜真氏は2012年から2期6年、市長を務めた後、18年と22年の沖縄県知事選に挑戦し、落選した。今回は松川氏の死去を受け、再登板を目指す。辺野古移設については「(普天間飛行場の)固定化を避ける唯一の手段」として容認。政府との協議で、埋め立てが完了した部分から運用を開始して普天間所属機を早期に移すことや、所属機や訓練を県外に分散移転させることを目指し、早期に危険性除去や騒音などの軽減を図ると訴える。

 出陣式では左胸に喪章を付け、松川氏に黙とうをささげた後、「松川前市長と誓い合った『普天間飛行場を絶対返す』という約束を果たさせてください。松川市政を継続しよう」と第一声を上げた。

桃原氏「日米両政府にそんたくしない」

 桃原氏は辺野古移設に反対する玉城デニー知事や政党の支援を受ける。18年12月の埋め立て開始から6年近くがたとうとする現在も、投入された土砂量は全体の16%にとどまっているとして、移設完了を「12年後」とする計画の実現性を疑問視。移設とは切り離して、普天間飛行場の即時閉鎖・返還を実現するよう求める。

 一方、市長選では移設問題より生活の問題が重視されるとして、福祉の拡充や賃金アップに取り組む姿勢を強調。第一声では「日米両政府にそんたくするような首長ではなく、市民のために、暮らしのために進んでいきたい」と訴えた。玉城知事も応援演説した。

 比嘉氏は、新型コロナウイルスのワクチン接種反対を掲げる。8月31日現在の有権者数は7万8947人。【比嘉洋、喜屋武真之介】

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