2025年度予算編成に向けた各省庁の概算要求が30日、締め切られる。一般会計の要求総額は117兆円規模となり、24年度(114兆3852億円)を上回り過去最大となる見通しだ。110兆円超となるのは4年連続。社会保障費や防衛費が増えたほか、日銀の利上げによる「金利のある世界」の本格化で国の借金の利払いなどに充てる国債費が拡大した。賃上げ対策や物価高対応など現時点では金額を示さない「事項要求」もあり、年末にまとめる予算案総額は膨らむ可能性がある。
要求額が最も大きい厚生労働省は、過去最大となる34兆2763億円を求めた。24年度予算比4574億円増。年金や医療にかかる社会保障費は32兆4375億円で、高齢化に伴う自然増を4100億円程度見込んだ。社会保障費の歳出抑制分を少子化対策の財源の一部に充てるとしており、年末までにどの程度圧縮できるかが焦点となる。こども家庭庁の要求額は、一般会計と特別会計を合わせて6兆4600億円。
防衛省も過去最大となる8兆5389億円を要求した。8兆円台は初めて。長射程ミサイルの調達で敵の射程圏外から相手を攻撃できる「スタンドオフ防衛能力」の強化を目指すなどとしている。23~27年度で総額43兆円を投じる防衛力整備計画の3年目であり、引き続き防衛力強化や反撃能力向上のための予算を求める。
国債費は24年度予算比1兆9026億円増の28兆9116億円を見込む。利払い費は10兆9320億円で、決算ベースで過去最大だった1991年度以来の大きさになる。金利上昇を受け、利払い費の想定金利は2・1%と24年度予算から0・2%引き上げた。
7月に決めた概算要求基準で示した重点分野は、持続的・構造的賃上げ▽官民連携による投資拡大▽少子化・子ども政策▽防衛力の強化。賃金や調達価格の上昇は予算編成過程で適切に反映することとしており、財務省は今後、各要求の査定に入る。【加藤美穂子】
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