小学生に遊びや生活の場を提供する学童保育。共働き家庭やひとり親家庭の増加で近年需要が高まる中、支援スタッフ不足や場所の確保など様々な問題に直面しています。その現状と課題を取材しました。

保護者が日中仕事で家にいない児童を放課後や夏休みなどに預かり、安全な居場所を提供する学童保育。
子どもたちは友達と遊んだり宿題をしたりして学童での時間を過ごします。
保護者の代わりに子どもたちと過ごし、見守っているのが支援スタッフです。
支援スタッフは遊びや宿題の見守りに加えて、連絡帳の確認や生活習慣を身に着けるためのサポートなど仕事内容は多岐にわたります。

【保護者】
「学童保育ないと困ります。仕事しているので」
「子どもが一人っ子なので留守番させるわけにはいかず学童に任せている」

佐賀市の学童保育施設は現在93施設あり、そのうち約9割の学童が公設公営で運営しています。
少子化を背景に児童の数が減る中、学童保育の登録はここ数年で急増。
現在は約3000人が登録し、小学生の4人に1人が利用しています。
一方、希望しても入れない「待機児童」が今年度は51人います。
県内の学童保育のスタッフや保護者から相談を受けるNPO法人の石橋裕子理事長は、共働きやひとり親家庭の増加で学童保育の需要が高まり、待機児童に繋がっていると指摘します。

【NPO】
「保護者の方が学童に入れなかったとか、もう2年生で待機になりそうだとかそういうSOS的なものも。ほかに何かいい方法はないかみたいな相談を受けています」

さらに、慢性的なスタッフ不足やスタッフの高齢化、場所の確保なども課題です。
その問題を解決しようと佐賀市では今まで市が行っていた支援スタッフの採用や研修、児童クラブの運営業務全般、そして活動実費の徴収・管理などを徐々に民間の事業者に委託することを検討しています。

【坂井英隆市長】
「放課後児童クラブの充実というのは非常に重要な課題だと思っていて、待機児童の解消というのは非常に難しい課題なんですけれども場所の確保、それからスタッフの充実といったところをしっかりと進めていきたい」

民間事業者に運営を任せることで専門的なノウハウを生かした質の高いサービスの提供や安定したスタッフ確保などにつながると見込んでいます。

【リポート・戸川真夢】
「市内でもすでに民間委託している学童があります。その一つがこちらの嘉瀬こどもの森です」

嘉瀬こどもの森は3年前に市から依頼を受け学童保育を始めました。
スタッフの採用や運営など全て自分たちで行っています。

【嘉瀬こどもの森 肥高清彦園長】
「認定こども園もしているので、昼間は認定こども園のほうを手伝ってもらって、夕方に児童クラブの仕事をしてもらう。その辺職員を効率よくつかって運営ができていると思っている」

スタッフの給与など待遇は市営の学童と同じ水準で運用。
現在は20人を受け入れていますが、さらに児童を受け入れることができないか市からの打診もあったと言います。

【嘉瀬こどもの森 肥高清彦園長】
「できるだけお願いされた需要がある分は受け入れたい思いはあるが、今は部屋の大きさとか制限がある中で20人が精一杯かなというところ」

学童保育について、市は利用する児童が多いもののスタッフが不足している4つの校区から民間への委託を進めたい考えです。
一方、専門家は人手不足の根本的な要因の解決が必要と指摘します。

【NPO 石橋裕子理事長】
「なかなか年収として上がっていかない食べていくという確立が全然できていない。しっかりと若い方が展望を持って働き続けることも佐賀の大きな課題だと思います」

県内では民間事業者に委託している自治体が増えていて、佐賀市によると、今年度(24年度)には伊万里、鹿島、江北、嬉野、小城、大町の6つの市や町が民間委託したということです。
一方、佐賀市の試算では費用面で年間6千万円程度の増加を見込んでいるということです。

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