米沢市の栗子山で進む風力発電事業について、厳しい意見が示された。吉村知事はきょう(26日)、このまま事業を進めればイヌワシの生息に重大な影響を及ぼす恐れがあるとして、「事業中止も含め抜本的な見直し」を行うよう求めた。

国の天然記念物のイヌワシが生息する栗子山では、JR東日本エネルギー開発が高さ168メートルの大型風車を最大10基設置する計画を立て、去年9月、環境影響評価準備書を示し事業を推し進めている。

これに対し、猛きん類の専門家や日本イヌワシ研究会などは、「事業者側が行った生息調査は極めて不適切」として中止を求めた。
県環境影響評価審査会も、7月に知事への答申の中で「希少生物の保全対策について不十分な点が多い」と指摘し、次の段階の「評価書」で改善するよう求めている。

きょう示した意見の中で、吉村知事は「このまま事業を進めればバードストライクの発生などイヌワシの生息に重大な影響を及ぼすおそれがある」として、「事業の取り止めも含め抜本的な事業計画の見直し」を行うよう求めた。

これまでJR東日本エネルギー開発は、住民説明会などで「準備書で示した調査結果と専門家などの調査結果には乖離(かいり)がある。中止を求める意見や指摘をすんなり受け入れられないが『評価書』を拙速に出す考えはない」との見解を示していた。
きょう、さくらんぼテレビの取材に対し、「知事の意見については内容をよく確認し関係行政や専門家の意見をうかがいながら今後の対応を検討していく」とコメントしている。

今回の知事意見では、低周波音による健康被害や、風車建設に伴う水質汚濁・土砂災害への影響について住民の理解を得るよう求めているが、「説明が足りず不安は増すばかりだ」として、県民有志がきょう、計画の中止を知事に要請している。

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