14日、岸田首相が緊急記者会見を開き、来月の自民党総裁選に出馬しない意向を表明した。

次期総裁について、政治ジャーナリストの青山和弘さんは「最有力は石破元幹事長だが党内の人気なし。2番目に名前が挙がるのは小泉元環境相。ただ、都知事選の石丸現象を受け小林元経済安保相を推す声がある」と解説する。

■「新リーダーを一兵卒として支える」と首相

岸田首相の会見発言 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送
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14日午前11時半ごろ開かれた会見で、岸田文雄首相は次のように語り、自民党総裁選への不出馬を表明した。

岸田文雄首相:今回(9月)の総裁選挙では自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要です。そのためには、透明で開かれた選挙、そして何よりも自由闊達な論戦が重要です。

岸田文雄首相:その際、自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことであります。私は来る総裁選には出馬いたしません。総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを一兵卒として支えていくことに徹してまいります。

■「岸田総理は総裁選に出馬すべきではない」との声が出る中 不出馬表明

岸田文雄首相

岸田首相は2021年10月に内閣総理大臣に就任し、経済再生や防衛予算の増額、新型コロナの5類移行などに取り組んだ。外交面では地元・広島でG7サミットを開催するなど、およそ3年にわたり政権を担ってきた。

自民党派閥の政治資金事件などで支持率が低迷し、自民党内では岸田総理は総裁選に出馬すべきではないとの声が出ている中での不出馬の表明となった。

総裁選に出馬する意向の議員の周辺は、「候補者が乱立する。事実上の総裁選スタートだ」と意気込みを示していて、総裁選に向けて早速党内が動き始めています。 一方、野党幹部は「総裁選の候補者を見て状況を見極めなければならない。年内に総選挙を打つ可能性があるので準備をしていく」と警戒している。

自民党総裁選の投開票は「9月20日か27日」とみられ今後、ポスト岸田の動きが激しくなりそうだ。

■「支持率上がらない中、岸田首相は追い込まれ覚悟を決めていたのでは」

政治ジャーナリスト 青山和弘さん 「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送

このタイミングで岸田首相が総裁選への不出馬を表明したことについて、14日、関西テレビの「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した政治ジャーナリストの青山和弘さんは『自分ひとりで決めて突然表明したようだ』と語った。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:岸田首相は通常国会、政治とカネをめぐる法案が成立した段階で支持率が20%半ばに留まってしまったことで、ある意味追い込まれていて、一種の覚悟は決めていたと思うんですね。

 ただ、それでも自分は続けたいという思いがあったんで、様子は見てきたんですが、支持率は一向に上向かないと。それでどうしても総裁選に出られないということになるんだったら、やはりお盆明けを待つのではなくて、少しでも早く辞めて、次の候補者たちに少しでも論戦の場や準備する期間をつくってあげないと、自民党の再生にならないということで、今回公務日程が終わったこのタイミングで、早々に出馬断念を表明したということなんだろうと思います。

■「総裁選不出馬。相談せず決断か」

「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:昨日の昨日まで、岸田さんが出てくるんじゃないか、候補者が乱立する中で、現職の強みを活かして、ギリギリで決選投票で勝つんじゃないか、それを目論んでいるんじゃないかという話はかなり出ていたんですね。

 実際に私がきょう取材した議員も、明日岸田さんと面会する予定が入っていて、そこで岸田さんに条件を出して推薦するという話をする予定だったらしいんです。「この日程はまだ全然動いていない、まだ明日の予定は入っているそうなんですが、いきなりきょう出馬しないという表明があったので、非常に驚いているそうです。

 つまり周りは、まだまだ岸田さんを続けさせるという勢力もある中で突然の表明、岸田さんは聞く力はあっても、相談する力はないと言われていて、全然相談しないで決めちゃうんですけど、今回も結局自分ひとりで決めて、突然表明したということだったようです。

次の自民党総裁にふさわしい人(FNNことし7月世論調査)「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送

次の自民党総裁にふさわしい人は誰なのか。FNNがことし7月に行った世論調査では、以下のような結果が出ている。

・石破元幹事長 24.7%
・小泉元環境相 12.1%
・高市経済安保相 7.5%
・河野デジタル相 7.0%
・菅前首相 5.4%
・上川外相 4.8%
・岸田首相 4.1%
・野田元少子化相 1.4%
・林官房長官 1.2%
・茂木幹事長 0.9%
・加藤元官房長官 0.4%
・小林元経済安保相 0.1%

■「有力視される石破元幹事長。ただ自民党内で人気なし」

石破茂元幹事長

総裁選に向けた駆け引きが本格化するとみられる中、政治ジャーナリストの青山和弘さんは、「都知事選の石丸現象を受けて、小林元経済安保相を推す声がある」と話す。 広島県安芸高田市の前の市長・石丸伸二氏は、東京都知事選挙に立候補して、動画などインターネットで支持を呼びかけ小池知事に次ぐ2位の得票数を記録した。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:9月に確実に首相になる人が変わるということはこれで確定しましたので、次の総理大臣は誰かというレースがここで号砲が鳴ったということだと思います。

 やはり石破さんの支持率が、一番高いので、やはり今自民党厳しい状況の中で総理大臣を変えて、岸田さんが言うように『新生』自民党を訴えたいということなら、やはり石破さんを担いでというのが、一番有力視されると思うんですね、石破さん本人もやる気を見せています。

 ただ、石破さんは自民党内で人気がないんですね、しかもこれまで4回出て、4回総裁選で敗れてますので、あまり新しい感じがしない。ここで生まれ変わった自民党を見せたいということであれば、やはり一つ在り得るとしたら世代交代なんですね。

■「菅前首相が推す小泉元環境相」

小泉進次郎元環境相

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:そこで2番目に名前が挙がってきているのは、やはり小泉進次郎さんなんです。小泉さん43歳というぶっちぎりの若さですし、人気もありますし、菅前首相なんかも小泉さんを推しているところもあります。小泉さんに集まってくる力はある。

 ただ小泉さんの最大のライバルになりそうなのが、小林鷹之さん、49歳と小泉さんより歳は上なんですけど、当選回数は小泉さんの1期下の4回生なんですね、今までほとんど名前を知られていない、世論調査をしても0.1%という少ない数字なんですけど、この前都知事選挙で石丸現象なんていうのがありました。

■「都知事選の石丸現象。小林元経済安保相に同じ現象を期待する声がある」

小林鷹之元経済安保相

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:あまり知られていない若手の石丸さんが国を変える、政治を変える東京都を変えるということで160万票をとった、このような現象を小林さんに期待する声もあります。小泉さんと小林さんが食い合うんじゃないか、そんな中で石破さんがどのような戦い方を見せるのか、まだまだ様相はわからない状況です。

 やる気を持っている人はいっぱいいる。例えば高市早苗さん、幹事長の茂木さん、あと河野デジタル担当大臣などもやる気を見せています。

■「20人の推薦人集めなければ総裁選に出れない」

総裁選を巡る動き 「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:ただ、やる気だけあっても総裁選には出られない。20人の推薦人が集まらないといけないし、実はこの20人の推薦人は、公開される名簿ですから、集めるのは難しいんですね。『私はこの人についていきます』っていうことを公にさらすわけですから、それは実は石破さんにしても、他の人にしてもこの20人が集まった段階で私が出られるんです、出ますっていう表明をするとなると、まだちょっと時間がかかる、これから綱引き、引っ張り合いが始まると思います。

■「総裁になった直後の総選挙を見送った麻生氏 結果として支持率下がり、民主党に政権交代」

新しい自民党の総裁が決まった後、衆議院の解散総選挙はいつ行われるのか政治ジャーナリストの青山和弘さんは「総裁選後にすぐ総選挙が定石」と語る。

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:新総裁になると、ご祝儀支持率で、一気に自民党の支持率と内閣支持率が上がるんですよ、しばらくたつと、何となくボロが出てきて下がってくるケースが多いので、普通に考えると新総裁が生まれて、前回菅さんから岸田さんになった時がそうだったように、一気に総選挙に打って出るというのが、定石だと思います。

 ただ、これも新総裁の性格によっては、そうしない場合もなくはないんです。例えば福田さんが麻生さんになった時は、そうすると思われていたのに、麻生さんがリーマンショックなどもあって、選挙を見送ってしまったんですね。結局支持率がまた下がって民主党に政権交代したんですが、同じようなことになるかどうか、これも新しい総裁が、どれだけご祝儀相場がでるかと、その人の考え方次第になると思います。

■「総裁選で盛り上がれば、ここで総選挙をやった方がいいというのが一般的」

今後の主な政治日程 「旬感LIVE とれたてっ!」8月14日放送

政治ジャーナリスト 青山和弘さん:この総裁選がどれだけ自民党が変わったという印象を植え付けられるかというのが一つのポイントだと思います。ただ、それでも裏金事件というのは、自民党の体質そのものが問われた問題なので、簡単に総選挙に出られないかもしれない。

 ただ、そうはいっても来年の7月に参議院議員選挙がある、来年の10月までに総選挙はやらないといけない、任期満了になってしまうので、その期間のことを考えるとやはり、このご祝儀とか総裁選で盛り上がれば、ここで総選挙をやった方がいいというのは一般的な考え方なんですね。ただ、これはまだまだ流動的で、今後の動き、この総裁選が派閥であるとか、長老たちがどのような動きを見せるのか、そういったことも国民がどう判断をするのかというのも大きなポイントになってくると思います。

このまま総裁選に突入し、注目を集めたまま、総選挙ということになると、今後どんな動きになるのか、一方で野党側も埋没しないようにどういう動きを見せるのかなど、今後も注目される。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」 2024年8月14日放送)

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