岸田首相の総裁選不出馬について、フジテレビ・政治部の高田圭太デスクに聞きます。

──なぜこのタイミングで不出馬を表明した?
岸田首相はとにかく分かりやすく変えるためにと話しましたが、最終的には自身がトップだと総裁選、そして、それに勝てても次の衆議院選挙に勝つのが難しいと感じたのが最大の理由だと思います。
加えて党内からも退陣論があったこと、そして裏金問題で岸田派が立件されているという状況は国民に理解されにくいという責任の思いもあったと思います。

岸田首相が会見の中で、珍しく自分の感情というか気持ちを前面に出した場面がありました。

岸田首相:
政治家としてやりたかったこと、そしてやるべきこと、これを今一度しっかりと整理し、そして方向性を示す。それだけは…総裁選挙から撤退するに当たっても、しっかりと示していく。そういった“政治家の意地”みたいなものはあった。

岸田さんに対しては辞任論がある中で、自分が早く辞めていれば楽だったかもしれないけれども、やるべきことはやったんだという自身の自負と、その裏に「もっとやりたかった」という自身の思いも少しにじんでいたかと思います。

──いつ決断したとみる?
岸田首相と不出馬会見のあとに話した自民党関係者は「岸田さんはサバサバしていた。不出馬はかなり前から決めていて、自民党の膿が自分の時に出たのは天命だと悟っているようだった」と話していました。
お盆が明けたら総裁選モードになってしまい、出馬をやめるとなると「勝てないから」など色々言われてしまう中で、岸田首相は派閥を解散する時も先手を打っており、それが岸田流であり、ギリギリで先手を打つ岸田流の“最後の一手”が14日の不出馬表明だったと言えます。

──13日にオリンピック選手が表敬訪問したときには心の中では決めていたということか?
前日の夜ですから、覚悟は決めた上で、これはやり通りしてから、不出馬を表明するという気持ちがあったのではないかと思います。

不出馬となりましたが、今後気になるのは総裁選のレースの行方です。

よく名前が挙げられ世論調査でも高い数字を出す石破茂元幹事長(67)、そして小泉進次郎元環境相(43)、若手議員からの期待の声も非常に上がっている同じ40代の小林鷹之前経済安保担当相(49)の3人の名前が筆頭に上がっています。

そして14日、岸田首相が不出馬を表明したことで、支える立場だった茂木敏充幹事長(68)や、閣僚の河野太郎デジタル相(61)、高市早苗経済安保相(63)も堂々と出馬表明できるようになりました。
さらに、岸田派の上川陽子外相(71)、林芳正官房長官(63)の可能性も出てきたという状況です。

キングメーカーである麻生副総裁(83)は、茂木幹事長と非常に親密な関係、河野デジタル相も麻生派ということで、最終的に誰だと勝てるのか見極めると思います。

そして岸田首相は、岸田派なので全体を見渡す立場ですが、最終的に岸田派の人たちに「この人にしよう」あるいは「この人だけに入れないようにしよう」といえる立場になります。

昔、小泉純一郎さんがやったように国民の支持を集めて総裁選に勝つという前例はありますが、国民に向けて、例えば政治とカネの問題を俺がクリア、クリーンにするぞと訴えるのか、議員に人気な公約を挙げるのか、その点については濃淡が出てくる可能性があります。

特に政治改革を巡っては濃淡が出てくると思うので、どのような主張をするか見極める必要があります。
いずれにしても党内理論なのか国民を向いているのか注目です。

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