総務省のロゴ=東京都千代田区の総務省で2024年4月19日、藤渕志保撮影

 総務省は2日、ふるさと納税制度による2023年度の寄付総額が前年度比2割増の約1兆1175億円で、4年連続で過去最高を更新したと発表した。寄付総額が1兆円を超えたのは初めて。23年度にふるさと納税を利用して住民税の控除を受けた人は前年度から約107万人増えて約1000万人となり、11年連続で過去最多を更新した。

 23年度の寄付件数は前年度比1割増の約5895万件で、15年連続で過去最多を更新した。

 自治体別の寄付受け入れ額は、宮崎県都城市が約194億円(前年度は約196億円)で2年連続トップだった。2位は北海道紋別市で約192億円(同約194億円)、3位は大阪府泉佐野市で約175億円(同約138億円)、4位は北海道白糠町で約168億円(同約148億円)。5位は北海道別海町の約139億円で、前年度の約69億円から大幅に増えた。中国による禁輸措置で打撃を受けた国産ホタテが返礼品として注目を集めたという。

 都道府県別では、元日に発生した能登半島地震で被害を受けた石川県が約113億円で、前年度の約52億円から倍増。このうち被害が大きかった輪島市、珠洲市など6市町は計約55億円で、前年度の計約13億円から大幅に増加した。多くが返礼品を希望しない被災地を応援する寄付だったという。

 寄付した人は居住地の住民税が軽減される。ふるさと納税の影響で最も税収が減るのは横浜市で、減収額は約305億円。2位は名古屋市で約177億円、3位は大阪市で約167億円。

 ふるさと納税では、自治体が寄付金を行政サービスなどに活用できるようにするため、返礼品や寄付募集の際にかかる経費は「受け取った寄付額の5割以下」にすることが求められている。23年度の経費総額は寄付総額の48・6%で、前年度から1・8ポイント増加した。

 総務省はサイト間のポイント付与競争を抑制するため、25年10月から、利用者にポイントを付与する仲介サイトを使って自治体が寄付を募ることを禁止する新ルールを適用する。「楽天ふるさと納税」を運営する楽天グループは撤回を求めて反対署名を集めているが、総務省は「返礼品やポイント目的の寄付は本来の趣旨にそぐわない」として新ルールに理解を求めている。【安部志帆子】

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