3期務めた東坂浩一市長の任期満了にともなう大阪・大東市の市長選挙が、21日行われ、無所属の新人で、元大東市職員の逢坂伸子さんが、大阪維新の会公認の前市議などを破って初当選を果たし、22日、当選証書を授与されました。

■「大東元気でまっせ体操」の考案者

 21日に行われた大東市長選挙は、3期務めた現職の東坂浩一市長が4選不出馬を表明し、新人同士の争いとなりました。

 当選したのは、元大東市職員の逢坂伸子さん。逢坂さんは、市職員時代、保健医療部高齢介護室の課長を務め、介護予防のための高齢者向け体操、「大東元気でまっせ体操」の考案者として知られ、厚生労働省の委員会の委員などを経験。大阪維新の会公認の前市議、石垣直紀さんや、共産党が推薦する新人をやぶって当選しました。


■維新幹事長の「おひざ元」で敗北 「万博を封印したわけではない」と吉村氏

 大東市は、日本維新の会の幹事長で大阪12区選出の藤田文武衆議院議員の「おひざ元」。この地での、2000票以上をつけられての「完敗」に、維新の幹部からは落胆の声が聞かれました。

 大阪維新の会の吉村代表は22日、記者団の取材に応じ、大阪維新の会公認を受けた石垣直紀さんの選挙戦については「我々の力不足だった」「石垣さんはよくやったと思う」と述べ、「決まったのが告示直前で、準備が不十分だったと感じている」と敗因について語りました。

 また、選挙期間中の応援演説で大阪・関西万博に関する発言がほとんど聞かれなかったことについては、「封印しているわけではない。いろいろな場で、万博について毎日話している。ただ、大東の政治課題ではない」と話しました。

■維新の府議がおらず「まとめ役」不在に

 今回、逢坂さんは、選挙の告示のおよそ2か月前のことし2月にはすでに立候補を表明。一方、維新は、石垣候補の発表が告示直前の4月8日となるなど、後手に回っていました。候補者の選定にかかわった大阪維新の会の横山英幸幹事長は22日、記者団に対し、「真摯に受け止めて気を引き締め直して、次の戦いに臨んでいきたい」と述べました。

 大阪維新の会の関係者は、今回の選挙戦について、藤田幹事長のおひざ元での敗北は「重たい」とした上で、「まとめ役」が不在だったことが大きいのではないかと明かしました。

 多くの場合、大阪府下の地方選挙では、当該の市町村から選出された大阪府議会議員が担いますが、大東市選出の維新の府議会議員は現在いません。関係者は、「負けに不思議の負けはない。組織の引き締めにつながるだとう」と話しています。


■逢坂さんは高齢者介護に関わる市職員

 一方、今回当選した逢坂さんは、政党の支援を断り、無所属での選挙戦を戦いました。自民党大阪府連や、公明党大阪府本部は、府連や本部として支援することはせず、地域の支部が支持・支援をする形にとどまっています。

 今回の当選について、ある関係者は、「高齢者介護に関わる市職員として、選挙の前から地域を回っていた逢坂さんのこれまでの行動が、当選という結果につながったのではないか」と分析しています。

■市議選では維新の候補5人が当選

 しかし、同日実施された大東市議会議員選挙では、大阪維新の会公認で立候補した5人全員が当選しています。(トップ当選は維新の候補者)。維新は今後、市議会で最大会派となり、「大東市内で維新への支持に陰りが見える」という分析は現実的ではないとも言えます。

 今回の選挙結果が、今後の大阪の地方選挙や、年内にもあると取り沙汰されている衆議院の解散総選挙での活動に、どのような影響を与えるのか、注目されます。

(関西テレビ記者・竹下洋平)

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