兵庫県知事がパワハラやおねだりなどをしたとされる疑惑。

19日、斎藤知事が特産品のPRのため”ワイン”の提供を受けたと認めました。

一方で具体的な宣伝はしていなかったということです。

【吉原功兼キャスター】「これから百条委員会が開かれます。委員が続々と部屋に入っていきます」

19日午後1時半の兵庫県庁。

多くの報道陣が注目する中、百条委員会が始まりました。

【百条委員会・奥谷謙一委員長】「ただいまから文書問題調査委員会を開会いたします」


■元県民局長の告発に知事は「事実無根」と当初否定も一部疑惑が事実と明らかに

問題の発端となったのはことし3月、元西播磨県民局長の男性(60)が斎藤知事のパワハラや贈答品のおねだり疑惑などを告発したことでした。

【斎藤元彦知事(ことし3月の記者会見)】「事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中なのに嘘八百含めて、文書を作って流すという行為は公務員として失格です」

兵庫県は”事実無根”として元県民局長を懲戒処分に。

しかしその後、一部のパワハラ疑惑が事実だったことが判明したのです。

告発を調査するため、県議会の百条委員会が設置されましたが、今月7日、元県民局長が死亡しているのが見つかりました。自殺とみられます。

■告発した元県民部長が死亡 自殺か…県民も抗議の声上げる中で百条委開催

【吉原キャスター「兵庫県庁前です、県民の方が100人近くいます。斎藤知事の辞職を求めて抗議活動を行っています」

【抗議する県民】「百条委員会でしっかり説明しろ!」

そして19日午後始まった3回目の百条委員会では、冒頭に元県民局長へ黙とうが捧げられました。

本来この場に、出頭するはずだった元県民局長。

証言は不可能になりましたが、関係者によると「死をもって抗議する」という主旨のメッセージとともに陳述書と音声データを残していました。

■「飲んでないので、ぜひまた」残されていた“おねだり”音声データ 議場で再生

記録されているのはおととし11月、兵庫県上郡町で開かれた会合で、斎藤知事が関係者に特産品のワインをねだったとみられる発言です。

百条委員会ではこのデータなどについて取り扱いを審議。

【百条委員会・奥谷謙一委員長】「ご遺族から、本人から託された資料として、7月12日に電子メールにて、陳述書等の資料2件と音声データ1件の提出がありました。委員会資料として採用したいと思いますが、これにご異議ございませんか」

【出席者】「異議なし」

委員会の出席者から異議の声は上がりませんでした。

【百条委員会・奥谷委員長】「ご異議ないと認め、そのようにさせていただきます」

そして、実際に議場で”おねだり”とされる音声データが流されました。

【斎藤知事とみられる音声】「ワイン、私飲んでないので、ぜひまた。この間、いちごと塩はあれですけど…折を見て、よろしくお願いします」

■ワイン2本 知事「仕事として」受け取り認めるも「具体的なPRはしていない」

この”おねだり”とされる場面について、ワインを提供したとされる上郡町長が19日、取材に応じました。

【上郡町・梅田修作町長】「以前から町の特産品のPRを考えていまして、これまでワインの特産品は上郡町になかったもので、初めてそういった特産品ができたものですから、以前から知事にこのことを知ってもらいたいという思いがありました」

このように述べ、ワイン2本を提供したことを認めたものの、あくまでも特産品を知事にPRするためだったと話しました。

一方で受け取ったとされる斎藤知事は19日、取材に対し次のように答えました。

【斎藤知事】「(上郡町の)職員の方からワインを2本、たしか持ってきていただいて、秘書室に届けて頂いた。私がいただいて、飲ませていただいたというのは事実です。仕事としてです。県の施策として産業振興の一環で大事な事ですから」

(Q.実際にPR活動は?)

【斎藤知事】「具体的なことはしてないと思います。これは、PR活動する、しないに関わらず、こういったことがあるということは私の思いの中にしっかりインプットされましたから。これからもワインであったり、現場を訪れるとかもしてみたい」

告発文に記載された”おねだり”についても当初、完全否定していた知事でしたが、ワインの受け取りについても認めた形となりました。

■職員たちが証人へ 百条委「職員を守り、心理的負担軽減にも努める」

百条委員会では今後、告発文の真偽を確かめるため、職員などおよそ50人を証人として呼ぶ予定です。

【百条委員会・奥谷謙一委員長(委員会終了後)】「一連の(告発)文書問題の調査については、県職員の協力が不可欠です。ただ、証言等することは、大変勇気がいることだと思います。そこは我々特別調査委員会としても、最大限、証人の職員のみなさまを守りたいと思いますし、心理的負担の軽減についても最大限努めていきたいと思います」

一向に収束の気配を見せないこの問題。

兵庫県政の混乱はまだまだ続きそうです。

■“おねだり”、パワハラだけでなく…7つの疑惑はどう明らかに?

今後、百条委員会では7つの疑惑について調査が進められます。

1.公益法人 副理事長解任
斎藤知事「根拠のない誹謗中傷」と否定

2.知事選で「事前運動」
斎藤知事 否定「事前運動を依頼したことはない」

3.次回選挙への投票依頼
斎藤知事 否定「依頼は一切していない」

4.物品の“おねだり”行為
斎藤知事 否定しているが「ワインの受け取り」は認める

5.パーティー券を大量購入させる
斎藤知事 否定「指示をしたことはない」

6.阪神・オリックス優勝パレード寄付めぐる不正
斎藤知事 否定「指示をしたことはない」

7.職員へのパワハラ
斎藤知事 否定「ハラスメントの認識はない」

newsランナーのコメンテーターでジャーナリストの浜田敬子さんは「“おねだり”にフォーカスされているが、疑惑は7つある。特に私がきちんと解明して欲しいなと思うのが、去年の日本シリーズ後のパレードに関して、信用金庫に対しての補助金が急に知事の指示によって、増額されたという疑惑がある。これが本当だとすると、知事の指示一つでお金の使い道が左右されてしまうという、非常に重い疑惑じゃないかと思います。あとパワハラも明らかにしてほしいなと思います。そして疑惑とは別に、公益通報者(亡くなった元県民局長)の保護というものをきちんとしなかったということが、非常に責任が重いと思っていて、詳細な調査をする前に、嘘八百と言って、内部告発者に対して第三者機関ではなく、内部で調査をして、処分を決めてしまった。正当な手続きを取ってないんです。それで追い詰めてしまって、こういった不幸な事態になった。この責任が非常に思うんじゃないかなと思います」と話しました。

関西テレビの神崎博報道デスクは今後の百条委員会の見通しについて「疑惑の項目ごとに呼ばれる証人が質問に答え、それに対して斎藤知事も弁明するということが、7~8回ぐらい今後行われる予定です。そして年内最後に報告書がまとめられます。この報告書に対して、斎藤知事がどう対応するかっていうところがポイントです」と説明しました。

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