兵庫県知事のパワハラ疑惑について新たな事実です。

疑惑を告発し、その後亡くなった元幹部職員が百条委員会に向けて残した陳述書や音声データの内容が、関西テレビの取材で明らかになりました。

【パワハラ告発しその後死亡した元県民局長の妻】
「あまりにも突然のことで、いまだに実感は湧きません。しかし、主人がこの間、県職員の皆さんのためを思って取った行動は、決して無駄にしてはいけないと思っています」

これは斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑を告発し、その後、亡くなった元西播磨県民局長(60)の妻が、7月12日に県の担当者に向けて送った文章です。

■「嘘八百」知事は告発を完全否定 しかし一部事実であることが明らかに

ことし3月、元県民局長(60)が知事の様々なパワハラなどの疑惑を記した文書を配布。斎藤知事は当初疑惑について、真っ向から否定しました。

【兵庫県 斎藤元彦知事 3月】「事実無根の内容が多々含まれている。名誉棄損や信用失墜。綱紀粛正。看過できない。業務時間中に“嘘八百”含めて、文書を作って流す行為は公務員失格です」

疑惑を受け県は内部調査を実施。その結果、事実無根の内容だとして元県民局長は停職3カ月の懲戒処分を受けました。

しかしその後、事態は一転します。

斎藤知事が、訪問先の施設で車を降りて建物の入り口までの約20メートルを歩かされたことについて、職員らを激しく叱責したことなど、告発内容の一部が事実であることが明らかになったのです。

【兵庫県 斎藤元彦知事 6月】「時間が限られてる中で、移動する中で、私からすると適切ではない段取りがあったので、注意をさせていただいたということはあります」

(Q注意したのか、叱責したのか?)
【兵庫県 斎藤元彦知事 6月】「注意をさせていただいたというか、それなりに厳しい口調で注意をさせていただいたということはあります」

こういった状況を受け、強い調査権を持つ百条委員会が設置され、元県民局長も今月19日に証人として出頭する予定でした。

■告発の元県幹部は死亡 労組は辞職要求 しかし知事は辞職を拒否

注目が集まっていた最中でしたが、今月7日、県庁に衝撃が走ります。

告発者である元県民局長が姫路市内で死亡しているのが見つかったのです。自殺とみられています。

告発者の死亡を受け、県政はさらに混乱。県職員4000人が加盟する労働組合が、斎藤知事に辞職を要求。

さらに…
【兵庫県 片山安孝副知事】「なんで斎藤知事を支えられなかったのかと、ほんまに私は悔しくてしゃあないですよ」

知事の側近の片山安孝副知事が、問題の責任をとり、辞職する意向を示しました。斎藤知事に対しても5度、辞職について進言したということですが、知事はこれをかたくなに拒否したということです。

12日の会見でも…
【兵庫県 斎藤元彦知事】「道は本当に険しいかも知れませんが、県政を前に進めていくこと、そのために全力で力を尽くすことが、私の責任の果たし方だと考えています」

■死亡の元県幹部 パワハラ行為を具体的に記した陳述書を残していた

そして元県民局長の死亡から1週間がたった15日、関西テレビの取材で新たな事実が明るみに出ました。

関係者によると元県民局長が百条委員会に出席できない代わりに、パワハラ行為の情報源や具体的な日時・場所について記した陳述書を残していたというのです。

想定された問答として…
【パワハラ行為についての質問】「『20メートル程歩かされただけで職員を怒鳴り散らした』という話は、いつ誰から聞いたか?」
【元県民局長の回答】「去年の県民局長、県民センター長の懇親会の場で、県民局長から聞いた」

【いわゆる“おねだり”についての質問】「『出張先での飲食は原則ゴチのタカリ体質、お土産必須』について、具体的な話はあるか?」
【元県民局長の回答】「地元のワインが話題となった時に、『まだ飲んでないので、お願いします』などと催促した」

さらに「おねだり」とされている部分については、音声データが残されているということです。

妻は今月12日、次のようなメッセージを添えて、陳述書や音声データを百条委員会に提出したということです。

【疑惑を告発した元県民局長の妻】「主人が最後の言葉を残していました。『一死をもって抗議をする』という旨のメッセージとともに、百条委員会は最後までやり通してほしいことが記されていました。その遺志を受けとめていただきますよう、よろしくお願い申し上げます」

■斎藤知事「一日一日、仕事をしっかりやっていくのが私の責任」

このような状況の中で15日、兵庫県知事として関西の3つの空港のあり方を議論する懇談会に出席した斎藤知事。

記者が、明らかになった陳述書や音声データの存在について問うと…

【兵庫県 斎藤元彦知事】「きょうは空港に関する懇談会ですから、ご質問等あれば明日の定例会見でしていただければ。一言だけ言わせていただくと、一日一日、仕事をしっかりやっていくというのが私の責任だと思っています」

新たな事実の発覚で事態はどう変化するのか。次回の百条委員会は今月19日に開かれます。

■「知事はきちんと向き合う必要がある」

【共同通信社 編集委員 太田昌克さん】「決死の覚悟、死をもってして訴えるという、非常に悲愴な思いだったと思うんです。是非はともかく、奥様も大変な思いをされていると思うのですが、本当に残念でならないことだと思うんです。具体的な証拠をきちんと残されていたということは、非常に重いわけです」

「やはりきちんと知事は向き合う必要がある。一つ一つのこういうエビデンスに対して、違うんだったらそれがなぜ違うのか、ご自身の物証をもって反論していく必要がある。結局“ファクト”がないままの議論は、行政の信頼を失いかねないです。まず職員のモラルが低下して、県民の皆さんの行政に対する信頼は失墜していきますから、知事にはここをしっかりと県民に向き合って、奥様にもきちんと説明をしていただきたいと思います」

これから百条委員会での実態解明に向けて、陳述書や音声データが大きな材料になっていきそうです。

【関西テレビ 加藤報道デスク】「まず16日に、百条委員会の理事会が非公開で行われまして、その場で初めてこの残された音声データや陳述書について諮られます。審議をされて、今度の19日の百条委員会でどこまでこれをオープンにするかというところが話されると思うんですが、間違いなく重要な参考資料になると思いますので、本当に真剣に向き合っていただきたいと思います」


■生きづらさを抱えた人たちのための相談窓口

生きづらさを抱えた人たちのための相談窓口があります。専門の相談員が悩みを受け止め必要な支援策などについて一緒に考えてくれますので、相談するようにしてください 。

「こころの健康相談統一ダイヤル」
電話:0570-064-556
※曜日・時間は都道府県によって異なります。

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(関西テレビ「newsランナー」 2024年7月15日放送)

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