旧優生保護法の下で強制された不妊手術について国に損害賠償を求める提訴を前に、横断幕を持って仙台地裁に入る原告団ら=仙台市青葉区で2018年1月30日午前10時半、喜屋武真之介撮影

 障害者らに不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)を違憲とし、国に賠償責任を認めた最高裁判決を受け、超党派議員連盟は9日の総会で、新たな補償の枠組みを設ける新法の提出を目指す方針を表明した。秋の臨時国会での成立を目指す。一方、岸田文雄首相は17日に原告の被害者らと面会する方針を明らかにした。

 超党派議連会長の田村憲久元厚生労働相は総会で「訴訟の対象ではない人も含めて対応できる新たな法律を作っていかなければならない」とあいさつし、原告以外の被害者も対象とする新法の制定を目指す考えを示した。

 2019年に議員立法で成立した救済法は、被害者に一時金320万円を支給すると定めた。ただ、裁判で確定した慰謝料は本人1人当たり1300万~1650万円で一時金との間に開きがあり、支給件数は伸び悩んでいる。新法では被害者への補償の金額やその認定方法などが焦点となるが、被害弁護団は本人1人当たり1500万円を求めていく方針。今後、西村智奈美元副厚労相を座長とする超党派議連のプロジェクトチームで補償制度の中身を検討する。

 総会には原告や被害弁護団も参加。政府・国会による謝罪▽第三者機関による検証の実施――などを要望した。原告の一人、飯塚淳子さん(活動名、70代)は「最高裁判決でやっと希望の光が見えてきたが、苦しみが消えることはない」と訴え、早期解決を求めた。田村氏は最高裁判決で国会の責任も問われたとして、「反省にのっとった国会決議を考えていかなければならない」とも明らかにした。

 岸田首相は9日の自民党役員会で、17日に原告の被害者らと面会すると表明。首相は「政府として真摯(しんし)に反省し、心から深くおわび申し上げる旨、明確に申し上げた」などと述べた。【塩田彩、阿部絢美、加藤明子】

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