日本は、ジェンダーギャップ指数で146ヶ国中118位。一方、アイスランドは同ランキング1位。その差は、育休制度の充実や、国会議員の約半数は女性だという。そんなアイスランドも、過去に全国の女性約9割が参加する大規模なストライキを行っていた。

どうしたら進む?男女平等社会

毎年6月23日から29日は、国の男女共同参画週間。スタジオには、宮崎大学清花アテナDEI推進室の清水鈴代副室長にお越しいただいた。

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清水さんは、宮崎大学で、学内教職員のダイバーシティ推進や若い世代の理系進路選択支援などに取り組んでいる。また、行政や他大学とも連携し、多様性を認め合う社会の推進に向けた取り組みを行っている。

そして、5月には、プライベートで、ジャーナリストの浜田敬子さんや県内の有志などと一緒に世界一男女平等が進んでいる国「アイスランド」を視察した。

その中で、政府関係者とも意見交換をされたそう。

清水さんは首相官邸、企業団体や保育施設などに行き、様々な方からお話を伺ったという。

世界一男女平等が進んでいる国、アイスランド

アイスランドは人口約39万人と宮崎市と同じくらいの規模で、北大西洋に位置する。そもそも、アイスランドが「世界一男女平等が進んでいる国」と言われる根拠は何か。

こちらの表は、6月12日、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が発表した2024年度の「ジェンダーギャップ指数」。ジェンダーギャップとは、男女間格差のことで、上位になればなるほど、格差が小さいという意味だ。

アイスランドはこのランキングで15回連続首位をキープしている国だ。ちなみに日本は146カ国中、118位。2023年の125位からは順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中では、87位のイタリアを下回る最下位のまま。さらに言うと、日本は韓国や中国より順位が低い。(韓国94位、中国106位)

視聴者より 男女平等進んでいる?

延岡市30代女性 まおぴ:
進んでない!共働きでも、子どもが体調崩したら、母親が診るのが当然のように周囲が言います。接客業務の私からすると、予定していたお客様を他の同僚に実績ごと譲ることになり、何とも複雑な気持ちになることも多々あります。

宮崎市60代男性 梅雨明けまだかな:
採用面では、少しずつではあるが男女平等は進んできていると思います。しかし、その他の分野ではまだまだ遅れていると思います。中央でも地方でも政治の世界では女性議員がまだまだ少なく、社会制度の改正が進みづらいのではないかと思っています。

また、ジェンダーギャップ指数は「政治参画」「経済参画」「健康」「教育」の4つの分野のポイントで決まる。まさに、アイスランドと日本の差は「政治参画」と「経済参画」に現われている。

育児休業制度

最近は、日本でも男性の育休取得促進の動きが強まっているが、アイスランドの場合、取得できる育休の期間が男性6カ月、女性6カ月、+どちらでも良い6週間となっている。

男性が育休を取得しなければ、女性の6カ月と+の6週間しかない。そのため、育休を取得する男性が確実に増えている。

アイスランドではなぜこのような取り組みが進むのか…

清水さん:
日本に比べ、政治の場に女性が進出していることが大きいのではないか。アイスランドでは、国会議員63人のうち、女性は30人とほぼ半数。

女性議員の増加によって、ジェンダー平等に関する議論が増える。

レイキャビク市の担当者と話をした際、日本では、議員の多くが比較的年齢の高い男性だと伝えると、『アイスランドの1982年ごろの状況のようだ』と言われてしまった。

アイスランドのデモ活動

転換点になったのは、1975年の「女性の休日」というデモ活動。男女間の不平等を訴えるため、全国の約9割の女性が一斉に、仕事や家事、育児を放棄する大規模なストライキを行った。そして、これがきっかけとなり、5年後には初の女性大統領が誕生した。

ちなみに、つい先日、アイスランド2人目の女性大統領が誕生したこともニュースになったばかりだという。市内には、女性の休日を記念した石碑もあり、このデモ活動は今でも行われている。

地元メディアなどによると、ストライキには、女性労働者ら数万人が参加し、一部の学校が休校になり、商店なども一時閉店した。当時のヤコブスドッティル首相も出勤を取りやめて参加したそう。

視聴者の方からのメッセージ

宮崎市30代女性 ゆかこ:
私の職場では、まだまだ男女平等は進んでいません。男性職員が3人しかいないからかもしれませんが、女子トイレも男子トイレも掃除は、女性職員がしているからです。男性職員はしません。女性職員は全員疑問を抱いていて、「男子トイレ掃除はボイコットしよう!」と団結している最中です!

アイスランドでは、女性が声を上げて、連帯し、動いてきた歴史がある。

今回の視察でも、「アイスランドの政府関係者の『ジェンダーギャップ指数1位は法制度を整えて、努力した結果。偶然ではない』という言葉が印象に残った」と清水さんはいう。

ただ、今なおアイスランドの人々が現状に満足されていないことも見えたそう。

例えば、アイスランドでも福祉や教育など、いわゆるケアワークに従事している人は女性が多く、相対的に賃金水準が低い。また、企業における役員などに女性が少ないなど、日本と同じ課題を持っていることも見えたという。

改めて、今回の視察で清水さんが感じたことは?

清水さん:
アイスランドは、ジェンダー平等というより、「個々の人権を尊重する」という意識が強いように感じた。そして、いろいろな方に話を伺う中で、多くの人が「ギャップを乗り越えた先に、皆が健康で、調和のとれた幸せな社会がある」と確信していると感じた。もちろん声を上げていくことはとても大事だが、このようなギャップが存在することを女性だけでなく男性も認識し、それによる働きづらさや生きづらさが生じていると私たちが気づくことも必要。一人一人が尊重され、男性も女性も在りたい姿が達成できるような宮崎が実現できればいいと感じる。

皆が健康で調和のとれた幸せな社会をつくるためには、何が必要なのか。この機会に皆さんも思いを巡らせていただけたらと思う。

(テレビ宮崎)

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