岸田文雄首相

 岸田文雄首相は7日、東京都内で、故安倍晋三元首相の三回忌を機に開かれた集会に出席した。「志気の在る所、遠くして至るべからざるなく、難くして為すべからざるものなし」という幕末の志士、吉田松陰の格言を引用し、「私たちはこの覚悟を持って、安倍首相の思いをしっかり引き継いでいかなければならない」と述べ、デフレ脱却を目指した「アベノミクス」や防衛力強化を進めた外交安全保障政策、憲法改正など、安倍氏が強く訴えた諸課題に取り組む姿勢を強調した。

 「志気の在る所……」は、志があればどんなに目標が遠くとも達成できるという意味で、松陰が17歳のころ、学友の旅立ちに贈った言葉とされる。安倍氏は地元・山口県の偉人である松陰を尊敬していたことで知られる。

 岸田首相は2月の衆院政治倫理審査会でも、松陰が残した「志を継ぐ者がいれば、まいた種が絶えることはない」という意味の言葉を引用していた。

 首相はこの日のあいさつで、安倍派を中心とした自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件について「国民の厳しい声が突きつけられている」と言及しつつ、「安倍元首相の志を一歩でも進めるためにも歯を食いしばって信頼を回復し、政治改革、党改革を進めていかなければならない」と強調。支持率が低迷していることを踏まえ「時には厳しい批判を浴びることもある。しかしながら決してひるむことなく、結果を出すべく、努力を続けていく」と語った。【池田直】

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