防衛省の正門=東京都新宿区市谷本村町で2019年3月、本橋和夫撮影

 防衛省は2日、サイバー人材の確保・育成に向けた「サイバー人材総合戦略」を策定した。新たな任用制度を設けるなどし、専門人材の内部育成を強化しつつ、知見のある外部人材を積極的に受け入れる体制を整える。

 サイバー専門部隊の指揮官育成を目的に、陸上自衛隊にサイバーに特化した試験区分を2025年度からの募集で新設する方針を明記した。作戦運用の中核にサイバーの専門家として携わる幹部自衛官の任用制度も25年度からの募集で創設する。これらの区分・制度を設けることで、入隊段階からサイバーの経験を積める環境を整える。

 サイバー関連業務を担う自衛官と予備自衛官の身体検査基準を緩和する。官公庁と民間企業を容易に行き来できる「リボルビングドア(回転扉)」の実現方針も打ち出した。

 政府は22年策定の防衛力整備計画に、27年度をめどに自衛隊のサイバー専門部隊を約4000人に拡充し、関連業務に携わる要員を含む計約2万人のサイバー要員を確保する方針を明記した。総合戦略を通じてこの方針の実現に向けた取り組みを進める。

 防衛省は同日、「AI(人工知能)活用推進基本方針」もまとめた。今後AIを活用する分野として、目標の探知・識別▽情報収集・分析▽指揮統制▽後方支援業務▽無人アセット▽サイバーセキュリティー▽事務作業の効率化――を挙げた。AIを用いる際には人間の関与を確保することも明記した。【中村紬葵】

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