任期満了に伴う鹿児島県知事選挙は7月7日に投開票が行われます。
選挙まで残り3カ月を切る中、選挙戦に名乗りを上げているのは、2期目を目指す現職・塩田康一氏と自民党の元県議・米丸麻希子氏です。
鹿児島県政のかじ取り役を決める4年に1度の選挙戦。徐々に動きが慌ただしくなる中2人は何を訴えていくのか、これまでの動きをまとめました。

「ふるさと鹿児島に対する熱い思いがある。その思いは誰にも負けない。再び支持いただけるなら県政を対応したい」

2023年12月、塩田康一氏は県議会で、2期目を目指し知事選への決意を語りました。

九州経済産業局長の職を辞し前回2020年の選挙に出馬、22万票あまりを獲得し、当時の現職や元職ら7人による選挙戦を制した塩田氏。

保守系の候補でしたが自民党の推薦は得られず、草の根選挙を展開した4年前。
しかし、今回は早々に自民が推薦を決定し、2023年1月には東京で、岸田文雄総裁から推薦証を受け取りました。

この5日前、県庁にはある人物が訪れていました。タレントのデヴィ夫人です。

塩田氏に要望したのは、県が鹿児島市のドルフィンポート跡地で進める新たな総合体育館の計画見直しでした。

3月には鹿児島市で講演会も開いたデヴィ夫人。集まったおよそ1000人を前に思いを訴えました。

デヴィ夫人「ドルフィンポート跡地は日本の海の玄関口としてすばらしい観光地になる。ぜひ皆さんの力で声を出して運動して体育館を建てることをやめさせていただきたい」

実はこの活動に水面下で関わっていたのが米丸麻希子氏。2019年に県議に初当選し、自民党の県議として2期目の活動中でした。

長らく県政の課題となっている新たな総合体育館の整備計画。県議会は2022年にドルフィンポート跡地での整備を容認しましたが、米丸氏は物価高騰の影響で整備費が245億円から313億円に膨らんだことや、桜島の景観が損なわれることを理由にこの場所での体育館整備に反対しています。

3月議会では塩田氏と米丸氏の間で体育館を巡る激しい論戦も展開されました。

米丸氏「明らかに建設費の増加が見込まれるが、知事は400億円を超えないと断言できるんですか」
塩田氏「膨張するという根拠も明確には示されていない。今後の社会情勢の変化等により整備費が膨らむような場合には県議会にも説明し、ご論議を踏まえた上で対応する」
米丸氏「体育館から遠く離れた場所に住む165万人のうち100万人にとってあまり関係のないものではないでしょうか」
塩田氏「じゃあ何万人だったらいいのか、160万人全員が使わない施設はいらないのかというと必ずしも県の施設はそういうふうにはなっていないので県としては希望する方が利用できる公共施設の整備はしっかりと行っていく必要があると考えている」

体育館の整備費を含む当初予算案は議会で可決され、県は2029年7月の利用開始を目指し入札公告を開始しました。

塩田知事「財源の確保等他の事業への影響ができるだけないようにという精査をしながら議会での要望も踏まえてしっかり取り組んでいきたい」

「これから新しいことに身を投じようと思います」3月議会を最後に県議を辞職した米丸氏。自民党も離党し、この体育館整備計画を最大の争点に知事選に名乗りを上げました。

出馬会見で体育館の整備場所について問われると。

米丸氏「もし鴨池で可能性があるならそちらで進めていきたい。知事になることができればイオンに交渉してあの場所で一緒にやっていきませんかと交渉させてもらえれば」

どの政党からも推薦は受けない考えの米丸さん。

「子ども医療費の窓口負担ゼロは中学生まで7億円あったらできる。半年間で体育科の整備費が68億円上がった。皆さんから集めた税金をどう使うのかはトップの考え方しだい」

4月10日から各地で講演会を重ね、県内全市町村を回り県民の声を吸い上げたいとしています。

米丸氏「できる限り行って皆さんの声をお伺いしてマニフェストをどんどん深めていきたい」

一方、現職ということもあり日々公務に追われる塩田氏ですが、自民党のほか、国民民主党も推薦を決め、政党以外の複数の団体も支援する考えです。

塩田氏「推薦をしていただけるということはこれまでの県政に対する取り組みを一定評価していただいたものと受け止めている」

また、鹿児島市議選の告示日には、推薦を受ける自民党候補の応援演説を行うなど根回しも図っています。

塩田氏が強調するのは、農林水産物の輸出金額が2年連続過去最高を更新したことや、特別支援学校の開校など1期4年間の実績です。

塩田氏「これまでの取り組んできた実績と、今後の稼ぐ力の向上だったり子育て支援、そういった中身について県民にしっかりと説明しながら支援いただけるように努めていきたい」

自民党の推薦をうけた現職の塩田氏と元自民党の米丸氏。4年前の選挙に引き続き今回も保守分裂の可能性をはらむ中、前回推薦という形で意思表示をした野党は。

立憲民主党鹿児島県支部連合会・柳誠子代表(前回塩田氏以外を推薦)「現段階では県連としてこの人を応援しようということにはなっていない。これから知事選に向けてどうしようかという議論を進めていく」

日本共産党鹿児島県委員会・平良行雄副委員長(前回塩田氏以外を推薦)「国政(選挙)のレベルで進んでいた市民と野党の共闘を県知事選レベルでも行えないか模索している」

県政のかじ取り役を決める知事選まで3カ月。戦いに向けた動きは着実に加速しています。

鹿児島県知事選挙は6月20日に告示され、7月7日投開票が行われます。

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