参院の政治改革特別委員会は18日、自民党派閥の政治とカネの問題を受けた政治資金規正法改正案を与党の賛成多数で可決した。衆院で賛成した日本維新の会は岸田文雄首相が調査研究広報滞在費(旧文通費)改革の今国会での実現を明言しなかったことを理由に反対に回った。

19日の参院本会議で可決、成立する見通し。同日は21年に岸田政権が発足してから初めての党首討論も予定されている。

維新は両院で賛否を変える異例の対応になった。維新は首相への問責決議案を参院に提出した。

採決に先立って首相が特別委の質疑に出席した。公明党の谷合正明氏は政策活動費などを監査する第三者機関の設置時期について聞いた。首相は「2026年1月1日を念頭に可能な限り早期に設置できるよう自民党としても議論をしていく」と答えた。

首相は第三者機関について「独立性、中立性を確保するための組織のあり方や権限が明確に法律に定められることが必要だ」との認識を示した。

立憲民主党の小沼巧氏は今国会での規正法の実現にこだわる理由をたずねた。首相は「一日も早く議論を進めて再発防止に努めなければならない」と説明した。「信頼回復に一日も早く取り組むことは当然の政治の立場からの責任だ」と述べた。

自民党と維新の間の旧文通費改革などの合意を巡り「旧文通費改革を早期に前に進めるという強い思いに偽りはない。自民党として嘘をついたという認識はない」と強調した。「国会日程が窮屈で、制度設計を細部まで進めるのは容易でない」と語った。

維新の馬場伸幸代表は首相と5月末に会談し、旧文通費の使途公開を義務づける法整備など3項目で合意した。これを踏まえ維新は衆院で自民党が提出した規正法の改正案に賛成した。合意文書には「今国会中」との文言を入れなかった。

維新の音喜多駿政調会長は17日の特別委で、旧文通費の改革と規正法改正について「セットで今国会中に実現することを自民党の岸田総裁と合意した」と主張した。「約束をほごにされるのであれば採決で賛成することはあり得ない」と反発した。

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