任期満了に伴う鹿児島県知事選(7月7日投開票)は、20日の告示まで13日で1週間となった。2期目を目指す現職の塩田康一氏(58)=無所属=に、いずれも無所属新人で元自民党県議の米丸麻希子氏(49)と、市民団体共同代表の樋之口(てのくち)里花氏(52)らが挑む構図となりそうだ。九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の運転延長や馬毛島(同県西之表市)の自衛隊基地建設を容認した塩田県政の評価が問われる。
県知事選は2011年に発生した東京電力福島第1原発事故以降、川内原発への対応が大きな争点となっている。経済産業省出身の塩田氏は20年の前回選挙で、運転開始から40年を迎える川内原発の運転期間の20年延長について「必要に応じて」県民投票を実施すると公約し初当選したが、県民投票をしないまま23年12月に運転延長を容認した。
反対の声も根強い馬毛島の基地整備計画では「安全保障環境が一段と厳しさを増していることも踏まえ、総合的に検討した結果、県として理解せざるを得ない」との立場を示す。
前回選挙で現職候補に推薦を出した自民は、今回は塩田氏の推薦願を受け年明け早々に了承。県連会長の森山裕・党総務会長(衆院鹿児島4区)は「党の政策との差異はない」と評価する。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件後、野党は衆院補選や地方首長選で勝利を重ねるが、原発を巡る対応を批判する立憲民主党県連は塩田氏の推薦を見送った一方、支持母体の連合鹿児島は塩田氏推薦を決定。立憲関係者は「連合への配慮から、他の候補を応援するまでは難しいのではないか」とみる。国民民主党は塩田氏の推薦に回った。
元自民県議の米丸氏は原発の運転延長と馬毛島基地に対しては容認姿勢だが、県が市街地に近い臨海地区で進める新総合体育館の建設計画に異を唱える。3月の県議会定例会では、事業費313億円が盛り込まれた新年度当初予算案に反対し県議を辞職、離党した。
共産党が「自主的支援」をする市民団体共同代表の樋之口氏は「争点が見えにくい。選択肢を県民に提示したい」とし、原発の運転延長、馬毛島基地の容認の白紙撤回を掲げる。原発の運転延長では、塩田氏が実施を見送った県民投票で民意を問う考えだ。【宝満志郎】
鹿児島県知事選の立候補予定者
塩田 康一58 [元]九州経産局長 無現①
米丸麻希子49 [元]県議 無新
樋之口里花52 団体共同代表 無新
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