2014年9月、「まち・ひと・しごと創生本部事務局」の看板を掛ける安倍晋三首相(右)と石破茂地方創生相=共同

政府は10日、2014年から本格的に取り組んできた「地方創生」の10年間の成果や課題を検証した報告書を発表した。地方への移住者増加など一定の成果はあったとしつつ「人口減少や東京圏への一極集中の大きな流れを変えるに至らず、厳しい状況にある」と総括した。少子化対策や産業創出、自治体へのきめ細かな支援などに取り組む方針を示した。十分な成果が出なかった要因の分析には踏み込まなかった。

10日に開いたデジタル田園都市国家構想実現会議で、自見英子地方創生相が報告した。21日の閣議決定を目指す経済財政運営の指針「骨太方針」にも反映する方向だ。

報告書は13年に公表された将来推計人口より、20年時点の実際の人口が上回った自治体が全体の4割を超える736市区町村あり「成果と言えるものが一定数ある」と評価した。ただ、成果を上げた自治体も移住者の増加によるものが多く「地域間での『人口の奪い合い』が指摘されている」とした。

その上で、離島や人里離れた集落などの人口減が日本の領域保全に直接影響を及ぼすと危機感を示し「国全体で戦略的に挑戦すべき課題だ」と強調した。

具体的には地方移住や企業の移転促進、地方大学・高校の魅力向上を進め、女性や若者の視点から、雇用創出や住みやすい地域づくりを検討。成果が出ず悩む小規模自治体に対しては、関係省庁の出先機関を含め連携してサポートを強化するとした。

政策を進める上では諸外国の少子化対策や子育て支援策も参考に、国民と問題意識を共有していくとした。

地方創生は第2次安倍政権が14年、看板政策として打ち出した。移住・定住支援などを掲げ、自治体に交付金を配るなどして推進した。

〔共同〕

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