衆院東京15区で候補者の訴えを聞く人たち=東京都江東区で2024年4月16日午前11時27分、宮間俊樹撮影

 衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が16日告示された。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が発覚してから初の国政選挙。逆風下の自民は東京15区と長崎3区で候補者擁立を見送り、残る島根1区での「1勝」に全力を注ぐ。立憲民主党など野党は島根1区も制し「自民全敗」に持ち込みたい考えだ。投開票は28日。

 3選挙区とも元々は自民の議席で、自民はうち二つで不戦敗を選択。告示時点で「負け越し」が確定する異例の展開となった。衆院議員の残り任期が約1年半となる中、島根1区でも自民候補が敗れれば岸田文雄首相(自民総裁)の求心力が揺らぎ、9月の自民総裁選を待たずに「岸田降ろし」の動きが表面化する可能性も指摘される。

島根1区 自民新人と立憲元職

 唯一の与野党対決となる島根1区補選には、自民新人で元中国財務局長の錦織功政氏(55)=公明党推薦=と、立憲元職で党県連代表の亀井亜紀子氏(58)が立候補を届け出た。

 錦織氏の出陣式には自民の小渕優子選対委員長が出席。小渕氏は「政治資金の問題で大変な政治不信を招いている」と陳謝し「自民党は変わらなければいけない」と主張。父の故・恵三元首相にとって島根出身の故・竹下登元首相は師だったとしつつ「古里島根を思う政治家の火を消さないでいただきたい」と訴えた。

 亀井氏の第一声には立憲の辻元清美代表代行が駆けつけ、裏金事件で岸田首相が「一切責任を取ろうとしていない」と批判。「いいかげんな処分を部下にして、自分は米国に国賓待遇で行ってニコニコしている」とも語り「皆さんの1票で岸田政権の処分、けじめ、しっかり付けようじゃないですか」と呼びかけた。

東京15区 新人や元職など9人届け出

 東京15区補選で立候補を届け出たのは、諸派新人で弁護士の福永活也氏(43)▽無所属新人で作家の乙武洋匡氏(48)=国民民主党推薦▽参政党新人で看護師の吉川里奈氏(36)▽無所属元職で元副国土交通相の秋元司氏(52)▽日本維新の会新人で元会社員の金沢結衣氏(33)=教育無償化を実現する会推薦▽諸派新人でIT会社社長の根本良輔氏(29)▽立憲新人で元江東区議の酒井菜摘氏(37)▽諸派新人で麗沢大客員教授の飯山陽氏(48)▽無所属新人で元参院議員の須藤元気氏(46)――の9人。

 自民は一時、東京15区での候補者擁立を見送る代わりに小池百合子東京都知事が擁立を主導した乙武氏の推薦を模索。当選すれば間接的な「自民勝利」と主張する構えだったが、乙武氏から推薦依頼は来ず断念した。

長崎3区 立憲元職と維新新人

 長崎3区補選には、立憲元職で党県副代表の山田勝彦氏(44)=社民党推薦=と維新新人で学習塾経営の井上翔一朗氏(40)=教育推薦=が立候補を届け出た。長崎県内の国政選挙で自民が独自候補を擁立しないのは初となる。【松原隼斗、目野創、白川徹、松本美緒、竹内望】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。