宮城県が主導する仙台医療圏の4病院再編構想で、県は21日夜、名取市で初の住民説明会を開いた。同市には新病院建設が予定され、参加者からは早期実現を望む声が相次いだ一方、県の進め方を批判する意見も出た。

 県と名取市、岩沼市、亘理町、山元町が共催し、94人が参加。説明会は5回目で、今回は仙台赤十字病院や県立病院機構の関係者も同席した。

 再編構想で仙台赤十字病院(仙台市)と県立がんセンター(名取市)は統合し、名取市に移転する。病床規模は400床程度で、2028年度中をめどに開院する計画だ。

 県は説明会で、名取市など2市2町の救急搬送の6割が仙台市に流入し、搬送時間が県平均より長くなっていると指摘。新病院では「『断らない2次救急』で仙台医療圏南部の救急医療提供体制を強化する」などとした。

 参加者からは「これまではリスクのある妊婦が仙台の病院まで通院しなければならなかった。仙南地域の子育て世代の安心の実現になる」などと期待の声が相次いだ。

 一方、新病院の立地場所について医療需要の調査が不十分だと指摘する声のほか、「100万都市の仙台市の意見を聴いていない」と県の進め方を批判する声もあった。

 また再編構想では、県立精神医療センター(名取市)と東北労災病院(仙台市)が富谷市に移転・合築する案もある。

 センターの家族会に参加する女性(75)は説明会で、「コロナワクチンを接種して発熱した入院患者にセンターは何もできず、仙台市立病院に救急搬送された」と指摘。労災病院との合築で身体合併症への対応力を高めるとする県の案に「賛成する」と語った。

 県は今月27日、仙台市太白区で6回目の説明会を開催する予定。(中島嘉克)

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